キヤノンは1月13日、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を応用し、ウエハーを平坦化する「Inkjet-based Adaptive Planarization」(IAP)技術を開発し、世界で初めて実用化したと発表した。今後、ロジックやメモリーなどの先端半導体製造現場での活用に向けて、2027年中にIAP技術を用いた装置の製品化を目指す。
NIL技術とIAP技術の概要
半導体製造では、成膜や配線などの工程を重ねる中で生じるウエハー表面の凹凸を均一に整える、平坦化工程が不可欠となっている。特に、微細化や3D化が進む先端半導体では、ウエハー表面のわずかな凹凸が、CD(Critical Dimension:半導体デバイス性能に影響する回路の最小寸法)誤差やパターンエッジの位置ずれにつながり、歩留まりや生産性に影響を与えることから、これまで以上に高精度な平坦化技術が求められているという。
現在、主流の平坦化手法は、薄膜を形成し表面をなだらかにするスピンコート技術や、研磨を繰り返すCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術だが、工程の複雑化やコスト増加が課題となっている。
同社は、インクジェット方式でレジスト(樹脂)を塗布したウエハーに、回路パターンを刻み込んだマスク(型)をハンコのように押し当てて回路を転写するNIL技術を開発し、半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を2023年10月に発売している。
今回、開発したIAP技術はNIL技術を平坦化用途に応用したものとなる。ウエハー表面の凹凸分布に応じて、インクジェット方式で平坦化材料(樹脂)を最適に配置し、その上から平坦ガラス板を押し当てる。
これにより、凹凸の粗密や回路パターンの違いに左右されることなく、直径300mmのウエハー全面を一括の押印工程で高精度に平坦化することが可能。ウエハー表面の凹凸を5nm以下に抑えることができ、後続の工程に不可欠な、均一な層構造を実現するとのこと。

