将来宇宙輸送システム(ISC)は、同社が取り組んできた初回の垂直離着陸試験となる「ASCA 1.0ミッション」について、米国での実施を取り止めると12月23日に発表。今後は米国製のロケットエンジンではなく、国内でのロケットエンジン開発と離着陸試験を進めることにしている。
将来宇宙輸送システム(ISC:Innovative Space Carrier)は、宇宙往還を可能にする次世代輸送システムの実現をめざすスタートアップ企業。同社が進めているASCAミッションは、ISCが独自に推進する日本発の再使用型ロケット開発プロジェクトで、宇宙輸送の高頻度化と低コスト化をめざすISCの中核プロジェクトでもある。
同社は「小型衛星打上げのための再使用型宇宙輸送システムの開発・実証」を掲げ、文部科学省によるスタートアップ支援の取り組み(SBIRフェーズ3事業)に採択されている。その想定アウトプットとして、2025年度中(2026年3月)までに、宇宙機の一部を構成するサブシステム開発試験を完了する必要がある。
ISCはこれまで、米国での離着陸試験をめざして米国連邦航空局(FAA)への許可申請手続きを進めてきた。しかし、SBIRフェーズ3基金のステージゲート審査が迫るなか、「FAAの正式申請受理に時間を要し、米国政府の閉鎖による業務停止等の影響を受けた」ため、2026年3月までにFAAの許可を得て飛行実証を行うことはきわめて困難だという。この状況を踏まえ、米国での離着陸試験の計画中止という判断を下したかたちだ。
一方で、国内での自社エンジン開発については、「液体メタン燃料を用いたロケットエンジン開発で一定の成果を得られている」ことや、包括連携協定を締結した荏原製作所がロケットエンジン用電動ターボポンプの実液試験を完了させていることを踏まえ、今後は国内で開発するロケットエンジンを用いた離着陸試験を行う計画を進めていく。
今後はこのロケットエンジンを用いた人工衛星打ち上げ用ロケットの開発を進め、次のステージゲート審査の期限である2027年度(2028年3月)までに「北海道スペースポート」(HOSPO)で人工衛星打ち上げ実証を行うことをめざす。
ISCでは「米国での離着陸試験は実現できなかったが、FAAの正式申請受理に至るまでの審査当局との調整を通じて得た、再使用ロケット実験に必要な安全確保などのノウハウや、米Ursa Major Technologies(UM)とのTAA締結を通じて得たロケットエンジン技術の獲得、推進系、電装系、構造系、地上系サブシステム開発を通じて、開発技術を向上させられた。今後、日本国内でのサブシステム試験を通じて得た技術情報を設計にフィードバックし、開発技術のさらなる向上につとめる」としている。


