エレファンテックは12月23日、銅ナノ粒子インクを用いた新たなHDIビアの形成プロセスとして「銅ナノダイレクトめっき法」を開発したことを発表した。

  • 新技術で形成したブラインドビア

    銅ナノ粒子インクを用いて形成したブラインドビア(MSAP)(出所:エレファンテック)

高密度基板に新たなビア形成手法を提案

AIサーバーなどの高機能化に伴い、より高速かつ高密度の基板に対する要求が高まっている。だがその中でボトルネックとなっているのが、層間を接続するBVH(Blind Via Hole)形成工程。HDI基板における不良の約40%が、マイクロビアに生じるクラックやめっきボイドだとも言われており、ビア形成プロセスの改善が急務とされている。

従来より広く用いられる化学銅めっきによるBVH形成では、以下の課題が残されていた。

  • 反応時に副生成物として水素ガスが発生し、特に小径ビアでガスが抜けづらくなることで生じるめっき不良リスク
  • 貴金属のパラジウムを必要とすることによるコスト高および資源リスク
  • SAPプロセスにおけるパラジウム除去工程の必要性とパラジウム残渣による品質課題
  • ホルムアルデヒドなどの発がん性物質や水の大量使用による環境課題

また、パラジウムフリー・アウトガスフリーを実現するための選択肢としてグラファイト系ダイレクトめっき技術も実用化されているというが、シード層が銅膜ではないため抵抗値が高いなどの点が課題となっていた。

こうした背景からエレファンテックは、専用の銅ナノ粒子インクを用いた新たなダイレクトめっきプロセスの開発に着手。銅ナノ粒子インクの塗布と水溶液による還元処理を組み合わせ、BVH内に銅シード層を形成するプロセスを確立した。

同手法ではまず、ビアにデスミア処理を行った後、銅ナノ粒子インクを塗布するとのこと。この銅ナノ粒子はビア内壁に吸着するよう設計されているといい、乾燥によってビア内は銅ナノ粒子が並んだ状態になるという。さらにその後、還元液に浸漬することで銅ナノ粒子表面の酸化膜を還元し、銅膜を形成。これが化学銅めっきによる銅膜の代替となり、ダイレクトめっきが可能になるとする。

  • 新プロセスの概念図

    開発された新プロセスの概念図(MSAP/サブトラクティブ)(出所:エレファンテック)

  • 穴あけ後、印刷後、電気めっき後の比較

    穴あけ後、印刷後、電気めっき後の比較(左から順、MSAP・コンフォーマル)(出所:エレファンテック)

なお、このプロセスでは還元液がある意味で化学銅めっきの代わりになるが、化学銅めっきとは異なり単なる還元工程を経るのみであるため、安定性が高く自由に設計することも可能。水素を発生しない還元液も用いることができ、その場合にはアウトガスフリーでの下地形成が行えるため、原理的にガス由来のボイドが生じなくなるとともに、パラジウムフリー・ホルムアルデヒドフリーの工程を実現できるとしている。

  • 化学銅めっきと新手法の比較

    化学銅めっき(左)と新手法(右)の比較(出所:エレファンテック)

エレファンテックによると、今回の新技術の実現において重要な役割を果たしているのが、新開発したHDIビア用銅ナノ粒子インクが、ビア内壁の凹凸に奥まで入り込んで吸着するという仕組みとのこと。開発された銅ナノ粒子インクは、ナノ粒子が15nmという微小サイズゆえに高い表面エネルギーを持つといい、表面を小さくしようとしてビア内部に吸着しようとする力と、ナノ粒子同士が集まろうとする力を巧妙に制御することで、ナノ粒子同士が凝集するのではなくビア内壁に、さらにガラスとエポキシの両方に吸着する状態を実現したとする。併せて、内層銅箔上の銅ナノ粒子を除去する必要は無く、還元・めっきを行うことで内層銅箔と強固な導通状態を創れる点も大きな強みとした。

  • インクジェット印刷直後のビア内壁の断面画像

    インクジェット印刷直後のビア内壁の断面画像(出所:エレファンテック)

同社は今回開発された新技術について、SAPやMSAPに加え、サブトラクティブ、フルアディティブなど各種方式に適用可能だとしており、インクジェット用インクとして用いることができるため、選択的な塗布も行えるとする。そして今後はPCBメーカーへの印刷機・インクの供給を通じて、新技術の実用化を進めるとのこと。同技術に用いるBVH向け銅ナノ粒子インクについては、すでに安定した製造技術を確立しており、ビア形成のサンプル加工も可能だとしている。