自動車の電動化とインテリジェンスの進展により、世界の車載半導体市場規模は2024年の約677億ドルから年平均成長率(CAGR)7.4%で成長し、2029年には約969億ドルへと拡大するとの予想をTrendForceが発表した。

ただし、セグメントごとに成長率にはばらつきがあるという。具体的には、ロジックプロセッサや先端メモリに代表されるHPCチップは、MCUなどの従来型コンポーネントよりもはるかに速いペースで成長するとしており、TrendForceでは、この差について、市場価値が車両の電動化とインテリジェンス化を実現するコア技術へと急速にシフトしていることを反映したものだと説明している。

  • 2024年から2029年に至る車載半導体の市場推移予測

    2024年から2029年に至る車載半導体の市場推移予測 (出所:TrendForce)

また、BEV、PHEV、FCV、HEVを含むEVの世界普及率は、2025年までに新車販売の29.5%に達すると予想されるとするほか、自動車メーカーは、マルチセンサ構成、高速接続、AIモデルの展開などを中心とする車両のインテリジェンス化を急速に進めているとも指摘する。

「電気/電子(Electrical/Electronic、E/E)」アーキテクチャは、分散型からドメイン中心型、そして完全集中型システムへと移行しつつあり、併せてコンピューティング能力に対する需要の高まりが続いている。

自動車メーカー各社は、ボディコントロール、テレマティクス、インテリジェントドライビング、スマートコックピットといった分野において、さまざまなレベルの機能統合を模索しており、これらの分野では半導体ベンダが重要な役割を果たすようになっている。半導体メーカーがコックピットとADASを統合したSoCを開発するにつれ、2025年はそうした統合アーキテクチャの商用化が進みつつある。

各コントローラの統合により、ECUが削減できるようになるほか、コンポーネントの共有が可能になるためワイヤハーネスの簡素化によるコスト削減も期待できるようになる。TrendForceは、車載ロジックプロセッサは2024年から2029年にかけて市場全体のCAGR7.4%を上回るCAGR8.6%で成長すると予測している。

新規参入の増加で競争激化へ

新興セグメントと言える高性能プロセッサ分野には、既存の車載ロジックメーカーに加え、NVIDIAやQualcommが高性能プロセッサと強固なハードウェア・ソフトウェア・エコシステムを武器に積極的な進出を図っている。

また、Horizon Roboticsなどの中国企業も、技術の進歩に加え、中国政府の後押し、そして自動車のインテリジェント化に対する需要の高まりに支えられる形で成長を続けている。こうした状況のため、既存の車載ロジックメーカー各社はプレッシャーにさらされているが、幅広い製品ポートフォリオ、実績のある信頼性、そして深い顧客との関係性を有しており、競争優位性となっている。

なお、TrendForceは、車載半導体市場は多様化しており、メーカー各社はそれぞれ異なる機会と課題に直面していると分析している。そのため、こうした変化の激しい市場で成功するためには、エコシステム全体にわたる戦略的提携の構築と、ハードウェアとソフトウェアの統合能力の強化が不可欠であると指摘。純粋なハードウェア性能を高めるだけでは、もはや長期的な競争力を確保するには不十分であると警告している。