鉄道車両などの高効率化と信頼性を向上するパワー半導体
三菱電機は12月2日、鉄道車両などの大型産業機器向け大容量パワー半導体「HVIGBTモジュールXBシリーズ」として、新たに「耐電圧4.5kV」(HVIGBTモジュールXBシリーズ 耐電圧4.5kVタイプ)の「標準絶縁品(絶縁耐電圧6.0kVrms)」と「高絶縁品(絶縁耐電圧10.2kVrms)」を12月9日より発売することを発表した。
大型産業機器向けパワー半導体モジュールは、鉄道車両の駆動システムや電源装置などの電力関連システムにおける、インバーターなどの電力変換機器に用いられているが、近年の脱炭素化社会の実現に向けて、さらなる電力変換効率の向上に向けた高出力化や高効率化、ならびに厳しい環境下でも安定して動作する耐湿性能の両立が求められていた。
パワー半導体のトレードオフ関係を解決する独自技術を活用
パワー半導体に搭載される半導体チップは、電力を変換・出力する領域(有効領域)と、電圧を安定的に保持する役割の終端領域(無効領域)に分けられ、湿度が高い環境では、水分などの影響により保持電圧が低下しないように終端領域を広くする構造が採用されてきたが、終端領域を広くすると相対的に有効領域が狭くなるというトレードオフ関係にあるため、パワー半導体チップの高出力・低損失の性能向上と耐湿性能の両立には課題があったという。
今回製品化される2製品は、独自のダイオードであり、カソード側の電子移動度を最適化した「Relaxed Field of Cathode(RFC)ダイオード」と、キャリア蓄積効果を利用した独自構造「Carrier Stored Trench-gate Bipolar Transistor(CSTBT)構造」を採用したIGBT素子を採用したIGBT素子の採用に加え、独自のチップ終端構造の採用による耐湿性能の向上を実現したものとなるという。
これらの技術を活用してチップの終端領域に新しい電界緩和構造と表面電荷制御構造を採用することで、終端領域を従来比で約30%縮小しつつ、約20倍の耐湿性能を実現したとする。また、従来製品比でスイッチング損失を約5%低減し、インバーターの高効率化にも貢献できるとするほか、RRSOA耐量(逆回復時安全動作領域における耐量)が従来製品比で約2.5倍拡大し、インバーターの信頼性向上も図ることができるようになるとしている。
なお、同社ではHVIGBTモジュールXBシリーズ 耐電圧4.5kVタイプについて、2026年1月21日~23日に東京ビッグサイトにて開催される「第40回ネプコンジャパン エレクトロニクス開発・実装展」のほか、北米、欧州、中国、インドなどで開催される展示会に出展するなどの取り組みを通じて、さまざまな環境下で走行する鉄道車両などの大型産業機器向けインバーターのさらなる高効率化と信頼性の向上を通じてカーボンニュートラルの実現に貢献していきたいとしている。
