日本最大級の組み込み・エッジテクノロジー総合展示会「EdgeTech+ 2025」が11月19日~21日かけて、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催されている。同イベントにてディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)は、「EdgeTech+ AWARD 2025 Edge Technology 優秀賞」を受賞したエッジAIカメラSoC「Di1」を用いたデモを行っている。
FP4に対応するFPUを搭載したSoC
Di1は、これまで高価なSoCでしか処理できなかったエッジAIの各種推論を、FP4に対応する(FP16/FP8/INT8/INT4にも対応)独自開発のNPU(4TOPS)を搭載することで、VLM(Vision-Language Model)やLLMといった高度AIモデルを高い電力効率かつ低コストでエッジにて処理することを可能としたカメラ向けSoC。FP4対応により、一般的なINT8と比べてAI処理性能を1.9倍向上できるとするほか、メモリ使用量を40%削減でき、2GBのLPDDR4でVLMなどの処理を可能としたという。
SoCとしてCPUにはArm Cortex-A53(×4)を搭載するほか、2D GPUやH.264/H.265対応のビデオコーデック、ビデオDSP、イメージシグナルプロセッサ(ISP)、ステレオビジョンアクセラレータなどのロジックをNPU以外にも搭載。特にステレオビジョンアクセラレータについては、他社のエンジンと比べて22倍の電力性能で高速3D測距を可能としたとのことで、4K HDR ISPやAIと組み合わせることで、ドローン・ロボティクスに求められる3D空間の視覚認識・AI処理を高速低消費電力で実現できるようになるとしている。
実際に、同社ブースのデモとしても自動車のトンネルの内部からトンネル外を見た際の逆光状態を140dB HDRの処理とHDR処理なしで物体の認識がどの程度異なってくるかといったものや、ステレオビジョンと顔認識を組み合わせて距離も含めた人物検知などを見ることができる。また、パートナー企業のIPを載せたデモも見ることができる点も注目を集めていた。
現在、Di1はサンプル出荷の段階にあるが、評価ボードは入手可能な状態となっており、この評価ボードを活用して開発を進めることが可能であるとのことで、すでに複数社が評価を進めている段階にあるという。また、評価ボード上のチップ搭載基板部分はSoMになっており、量産時にはSoMとしての提供も計画しているとする。
デモはこの評価ボードを用いる形で行われていたが、ヒートシンクやファンなどは不要で各種の処理が行われており、低消費電力であることが強調されていた。デモ動画では、他社のGPUベースとの性能比較も見ることができたが、GPUベースのボードではヒートシンク+ファンが必要な処理であってもDi1では消費電力4.7Wでそれ以上のフレームレートを実現できることなどが示されていた。この4.7Wというのは消費電力は冷却としては少なくともファンレスで動作可能な範囲のものであり、Di1の電力対性能比の高さを示す値であるといえるだろう(さすがにCPU、GPU、NPUをフルで常時稼働させるような処理の場合は4.7Wの消費電力で収まらない可能性があるとは思われる)。
なお、同社ではユースケースとしてドローンや産業用ロボット、ADAS/DMS(ドライバモニタリングシステム)、セキュリティカメラなどを挙げているが、それ以外の低消費電力かつAI処理が必要なエッジ分野に向けても積極的にアピールしていきたいとしている。


