防災科学技術研究所(防災科研)と気象庁は、南海トラフ周辺海域に設置した地震や津波の観測網「N-net」を構成する、沿岸システムの津波観測データを11月20日から活用開始。既に活用している沖合システムと、沿岸システムの両方を活用することで、津波検知が最大20分早くなるとしている。

  • 津波情報等への活用を開始する海底津波計の分布図(活用開始する海底津波計の地点名称は、「〇〇沖」を省略して記載)

    津波情報等への活用を開始する海底津波計の分布図(活用開始する海底津波計の地点名称は、「〇〇沖」を省略して記載)

防災科研は、南海トラフ地震の想定震源域のうち、これまで観測網が設置されていなかった西側(高知県沖から日向灘)の海底に、地震計と津波計(水圧計)を備えた「南海トラフ海底地震津波観測網」(N-net:Nankai Trough Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis)を構築。南海トラフの観測網の空白域をなくすよう、広範囲の海域をカバーしている。

  • 観測網の全体概要

    観測網の全体概要

N-netは、「沖合システム」(2024年6月整備完了)と「沿岸システム」(2025年6月整備完了)のふたつのサブシステムで構成し、各システムには計測機器を備えた観測ノード18点を光海底ケーブルでつないで、リアルタイムに24時間連続で観測データを取得している。将来的に新たな観測装置を増やせるよう拡張用の分岐装置も4カ所に装備。観測網の片方は室戸ジオパーク陸上局(高知・室戸市)、もう片方は串間陸上局(宮崎・串間市)に陸揚げしており、総延長は沖合側が約740km、沿岸側は約900kmにも及ぶ。

  • 観測網の構成

    観測網の構成

気象庁は今回、N-netの沿岸側の津波観測データの品質確認などを行い、準備が整ったとして、11月20日12時から沿岸側のデータも津波情報などに活用開始することを決めた。これにより、津波の検知は最大約10分早くなるなど、津波警報の更新や、津波情報の発表の迅速化・精度向上が図られる。また、津波の観測情報を発表する沖合の観測点は268地点に増える(従来は250地点)。

なお、N-netの沖合側の津波観測データは2024年11月21日から津波情報などに活用しており、新たに沿岸側を加えて全体のデータを活用することで、津波検知は最大20分早くなるとのこと。

  • 今回の観測点の追加による津波早期検知の効果をあらわした図。等値線は、今回の観測点の追加によって津波検知がより早くなる時間(単位:分)。赤く塗った領域で発生した津波の検知が現在より早くなるとのこと

    今回の観測点の追加による津波早期検知の効果をあらわした図。等値線は、今回の観測点の追加によって津波検知がより早くなる時間(単位:分)。赤く塗った領域で発生した津波の検知が現在より早くなるとのこと