高出力での充放電に対応した鉄道車両用バッテリモジュールを東芝が開発
東芝は11月17日、同社のリチウムイオン二次電池SCiBセルを適用した鉄道車両用バッテリモジュールとして、従来品比で約3倍の高出力での充放電に対応したモデルを開発したことを発表した。
列車のブレーキ作動時には、隣接する加速走行中の列車で利用可能な回生エネルギーが発生するが、近くにこのエネルギーを消費する列車が存在しない場合、車載の抵抗器あるいは機械ブレーキによって熱として浪費されいた。使用電力の削減に向けて、この回生エネルギーの有効活用が期待されており、同社でも回生エネルギーを蓄電し、有効活用する鉄道車両向けシステムを直流600V架線区間では提供してきたものの、より効率的な有効活用につなげるためにはバッテリモジュールの架線電圧に対する適用範囲を広げ、高出力で充放電をする必要があったという。しかし、そうした高電圧・高出力のバッテリモジュールの実現には、高電圧下での絶縁性能の強化や充放電時の発熱発生を抑制する必要があったという。
高電圧下での絶縁性能の強化などで高出力での充放電に対応
そこで同社では今回、高電圧下での絶縁性能を強化することで国内の直流電化区間の90%以上を占める直流1500V架線に対して、架線への直結を可能としたとするほか、回路構成が簡素化できるため装置の小型化が可能となり、車両へ搭載容易化と車両の軽量化による消費電力量の削減につながることが期待できるようになったとする。
また、底板にアルミニウムを採用した新開発の独自底面構造を採用することで、これまで難しかった高電圧絶縁性能と高出力での充放電に伴うセル発熱を効率的に取り除く高い熱伝導性を両立することに成功したとするほか、内部抵抗が小さく高出力での充放電でも損失と発熱が小さいハイパワー型のSCiBセル「20Ah-HPセル」を採用することで、従来品比で約3倍となる約300kW(従来品の最大出力は約90kW)の出力での充放電に対応することに成功したとする。
なお、同社では高出力での充放電に対応したことで、列車のブレーキ作動時に発生する回生エネルギーを従来品よりもさらに効率よく蓄電し、万が一電力供給が断たれた際に退避運転を行う電力を供給する非常用蓄電池として活用できるようになるとするほか、蓄電した電力を加速走行など列車運行のアシストにも活用していくことで、鉄道運行で使用される電力量のさらなる削減やCO2排出量の低減につなげていきたいとしている。
