多層PCBにおける高速伝送時の課題

OKIは11月17日、次世代AIデータセンターでの活用が期待されている1.6Tbpsクラス高速伝送PCB(プリント基板)における高精度な層間接続のためのビア(孔)の特性制御を可能とする「高周波ビア高精度シミュレーション技術」の開発に成功したことを発表した。

AI半導体やAIサーバなどで活用されるPCBは高性能化を図るため、多層化に加え、表層から内層の一部のみへ接続する非貫通ビアや1層ずつ積層しながら積上げるビルドアップなど構造が多様化・複雑化しており、高速伝送を阻害する伝送損失や信号反射の低減への対策が重要になってる。中でも多層PCBの層間を電気的に接続するビアに関しては、高速伝送で使用される高周波信号が変化する構造的な変化点となっており、信号の反射を抑えるビアの特性インピーダンス制御が重要な要素技術の1つとなっているという。

このため、高周波用途のPCB開発では、最終的な信号品質を設計段階で検証するSI(Signal Integrity)シミュレーションで用いる、高精度なビアモデルが不可欠となっていたが、基本周波数が50GHzを超える高周波帯域になると、従来のモデリング手法では、製造プロセスやばらつきが起因となる影響や高周波領域での物性値を正確に表現することが困難で、実際の特性(実測結果)と相関のとれたシミュレーション結果を得ることが難しいという課題があったという。

  • 高速伝送PCBの課題

    高速伝送PCBの課題 (出所:OKI)

実機における確実な信号特性の確保を実現できるシミュレーション技術を開発

OKIグループのPCB事業会社であるOKIサーキットテクノロジー(OTC)は、こうした課題に対し、PCB製造前段階に、新技術のシミュレーション結果に基づきビアの構造・寸法・製造マージンを自社工場の製造ラインに合わせて総合的に検証・最適化し、信号品質の要求を満たす最適条件を抽出。自社で蓄積してきた評価データをもとに構築した仕上り寸法や製造ばらつき、材料物性値などのパラメータを独自データベースによる3次元電磁界解析ツールを活用した高精度なビアモデリングを構築し、実機における確実な信号特性の確保を実現できる「高周波ビア高精度シミュレーション技術」の開発に成功したとする。

  • ビアの3次元電磁界シミュレーションモデル

    ビアの3次元電磁界シミュレーションモデル (出所:OKI)

  • 実測値と相関のとれたシミュレーションを実現

    実測値と相関のとれたシミュレーションを実現 (出所:OKI)

なお、OKIでは、この開発したシミュレーション技術を活用することで、高周波・高密度化により顕在化する多層PCBのビア特性を制御し、顧客の高速伝送PCBの開発と量産立上の期間短縮を図ることができるようになると説明している。