ソニーセミコンダクタソリューションズは、車載カメラ向けのCMOSイメージセンサーとして、MIPI A-PHYインタフェースを内蔵した「IMX828」を商品化。11月からサンプル出荷を予定している。
車載分野には複数の高速伝送インターフェース規格が存在する。ソニーセミコンでは、こうした規格に対応するために従来必要だった外付けのシリアライザーチップを不要とすることで、カメラシステムの小型化や低消費電力化、熱設計の効率化に寄与すると説明。このような高速伝送インターフェース規格をイメージセンサー内部に実装して商品化するのは、業界初の取り組みだという。
OEMやTier1などのパートナー企業に向けては、以下のメリットを提供可能とアピールしている。
- 外付けシリアライザー不要によるコスト削減
- 基板サイズの小型化・発熱抑制
- カメラモジュールの低消費電力化
- 外部ノイズによるエラー耐性の向上
IMX828ではほかにも、“業界最高水準”をうたうHDR(ハイダイナミックレンジ)性能と、低消費電力を両立。低消費電力な独自の駐車監視機能をセンサー内に盛り込み、盗難などを未然に防ぐことを目的とした動体検出に対応する点も特徴だ。
イメージサイズは1/1.7型(対角9.28mm)で、画素サイズは2.1µm。有効画素数は約834万画素(3,848×2,168)、フレームレートは最大45fps(全画素読み出し)。
ソニーセミコンでは今後、MIPI A-PHY以外の高速伝送規格を内蔵した製品の開発も視野に入れており、オープンスタンダードに基づく柔軟なインターフェース戦略を通じて、次世代の車載カメラに求められる技術革新に寄与していくとのこと。
IMX828の概要
車載カメラシステム領域では、カメラとECU間の通信において高帯域・低遅延・高信頼性が求められており、これに対応するために複数の高速伝送インターフェース規格が存在する。
IMX828はその中でも、MIPI A-PHYをイメージセンサーに直接内蔵して商品化した“業界初の事例”だという。さらに、ソニー独自のエラー対策回路を実装することで、データ伝送時に外部ノイズによるエラーに対しても高い耐性を発揮するとアピールしている。なお、MIPI A-PHYの内臓はオプションとなる。
MIPI A-PHY内蔵以外の、主な特長は以下の通り。
低消費電力で動作する駐車監視機能を内蔵(オプション)
駐車時の動体検出を低消費電力で行い、車載ECUに通知する機能にも対応。駐車監視モード時は、低解像度かつ低フレームレートで撮像し、消費電力を100mW以下に制御する。動体検出時には車載ECUへ通知し、通常の撮像モードに遷移させられるという。
業界最高水準のHDRによる認識性能の向上
独自の画素構造の採用により、業界最高水準となる47Kcd/m2の飽和特性を達成。たとえば、昼間の赤信号や、テールランプの赤色LEDといった高輝度な対象物でも色再現性を維持し、誤認識リスクを低減できるとする。最大150dBのダイナミックレンジを達成し、高温環境(最大ジャンクション温度125度)でも安定したノイズ性能を維持している。
低照度特性改善とモーションブラーの低減を両立
Mobileyeとの協業のもと、露光条件の異なる2種類のHDR合成画像を連続して出力できる、コンピュータビジョン性能を高める新たなHDR駆動モードを開発して搭載。これにより、低照度環境下での特性を向上させるとともに、動く被写体のブレ(モーションブラー)を低減できるようにした。
車載用途に求められる品質に対応
自動車向けの信頼性試験基準「AEC-Q100」の「Grade 2」を量産までに取得予定。自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠し、ハードウェアメトリクスはASIL-B、開発プロセスはASIL-Dに対応。これにより車載カメラシステムの信頼性向上に寄与するとしている。
車載用途に求められるサイバーセキュリティに対応(オプション)
CMOSイメージセンサーの真正性を確認する公開鍵アルゴリズムを用いたカメラ認証、取得した画像の改竄を検知するための画像認証、制御通信の改竄を検知するための通信認証に対応可能。自動車向けサイバーセキュリティエンジニアリング規格「ISO/SAE 21434」に準拠した開発プロセスも導入した。
仕様面では、電源電圧はアナログ3.3(±0.165)V、デジタル1.1(±0.05)V、インタフェース1.8(±0.1)V。インタフェースはMIPI D-PHY+I2C、またはMIPI A-PHY。パッケージサイズは11.85×8.6mmで、117pin BGAまたはベアダイでの提供となる。
