NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)と、NTTドコモビジネスの香港法人であるNTT Com Asiaは10月24日、金融機関向けにIOWN APN(All-Photonics Network)技術を活用した新サービス「APN InterLink」の提供を11月1日から香港で開始することを発表した。アジアの主要な金融センターである香港でのAPNの商用展開を通じて、アルゴリズム取引といった金融業界の次世代デジタルニーズへの対応を目指す。
両社は今後、主要金融センター間のシームレスな連携に向けて東京 - 香港間を結ぶアジア域内海底ケーブル「ASE(Asia Submarine-cable Express)」上でIOWN APNの展開を進める。
取り組みの背景
昨今の金融市場はデジタル化の進展により、取引の高速化と高度化が加速している。特に超高頻度取引(HFT)をはじめとしたアルゴリズム取引が市場におけるプレゼンスを年々高めており、通信遅延がわずかミリ秒単位であっても取引機会の損失に直結する。
こうした状況の中で、超低遅延ネットワークの整備は金融機関にとって競争力強化の重要な鍵となりつつある。「APN InterLink」の提供により、金融機関はデジタル変革を加速させ、AIを活用したイノベーションの創出など新たな価値創造に取り組むための基盤強化が期待できるとのことだ。
また、金融業界をはじめとするミッションクリティカルな業務では、激甚災害への備えとして、事業継続を支えるディザスタリカバリシステムの整備が不可欠とされる。災害時のリスク低減には拠点を地理的に分散させる必要があるが、IOWN APNを活用することで遠隔地間での効率的かつシームレスなデータ伝送が可能となり、大規模災害対策の信頼性と運用効率性の向上にもつながる。
「APN InterLink」の概要
「APN InterLink」は、IOWN APNを活用した接続サービス。NTT Com Asiaのデータセンター間をAPNで接続する「APN DCLink」と、任意の拠点間をAPNで接続する「APN DedicatedLink」を提供する。
「APN DCLink」はNTT Com AsiaのフィナンシャルデータセンターとTai PoデータセンターをAPNで接続し、超低遅延ネットワークを提供する。フィナンシャルデータセンターは香港証券取引所(HKEX)に近接しており、遅延の影響を受けやすい金融取引やリアルタイムのトランザクション処理など、ミッションクリティカルな金融取引において最適なパフォーマンスを実現する。
「APN DedicatedLink」はデータセンター間のAPN接続に加え、香港域内で顧客拠点間をAPNで接続する。ユーザーの拠点から香港証券取引所(HKEX)へ超低遅延で接続を希望する場合は、拠点とNTT Com AsiaのフィナンシャルデータセンターまたはTai Poデータセンター間をAPNで接続することも可能。

