ソフトバンクと理化学研究所は、共同推進する「JHPC-quantum」プロジェクトにおいてテストユーザプログラムを開始。量子HPC連携アプリケーションの研究開発に関する提案として、多様な業種・分野から寄せられた応募の中から21件を採択すると10月14日に発表した。

JHPC-quantumは、量子コンピューター(QC)とスーパーコンピューター(HPC)を連携させるためのシステムソフトウェアを研究・開発し、それを用いて量子HPC連携プラットフォームを整備し、その有効性を実証することを目標としている。

今回始動したテストユーザプログラムは、ソフトバンクと理研などが開発を進めている連携プラットフォームを実際に活用し、量子HPC連携アプリケーションを研究開発する提案を募集するもの。開発中の連携プラットフォームに対するフィードバックを得るとともに、有望な連携アプリケーションを発掘し、実用化を推進することを目的としている。

試験募集(2024年12月~2025年1月)と、2度の公募(2025年4月1~30日、2025年6月16日~7月15日)を実施したところ、素材・化学・製造・情報通信・医療・ライフサイエンスなど、多様な業種・分野から応募があったとのこと。主に「連携プラットフォーム活用の具体性」や「HPC利用の核心性」、「結果を得るまでのスケジュール」の観点から審査を行い、21件を採択した。

採択された団体・企業は、「量子-HPC連携プラットフォームにおけるテストユーザプログラムに関する連携・協力に関する覚書」の締結後に、同プロジェクトで活用する2台の異種の量子コンピューターと、スーパーコンピューター「富岳」のアカウントが付与され、連携プラットフォームを用いた連携アプリケーションの開発に着手できる。

2025年9月26日までに覚書が締結された提案について、代表提案者の所属と提案分野は、締結順に次の通り。他の採択提案については、覚書が締結され次第、JHPC-quantumプロジェクトのWebサイトで順次公開する予定だ。

  • JSR(材料)
  • トヨタ自動車(材料/設計・製造)
  • ソフトバンク(材料)
  • お茶の水女子大学(自然科学)
  • 豊田中央研究所(設計・製造)
  • 京都大学(医療・創薬)
  • 大分大学(医療・創薬)
  • 電気通信大学(自然科学)
  • 三菱ケミカル(材料)

今回の採択提案21件のうち、2025年度末までに達成された成果から判断し、大規模実験により革新的な成果が期待できるものについては、2026年度の早い時期に大規模実験が実施できるよう支援していく予定だという。なお、同プログラムの次回の公募は、2026年度の早い時期に実施予定とのこと。

ソフトバンクと理研は引き続き、東京大学や大阪大学と協力して同プロジェクトを推進し、連携プラットフォームの構築、連携アプリケーションの探索に取り組む。また、同プログラムを通して、連携アプリケーションの実用化を推進し、量子技術の社会実装に寄与していく。