ソニーセミコンダクタソリューションズは、車室内モニタリングカメラ向けのCMOSイメージセンサー「IMX775」を商品化。2026年春から量産出荷を予定している。業界最小となる2.1µm画素を採用し、ワンチップでRGB画像とIR画像を撮像できるのが特徴だ。
自動車の安全性へのニーズが高まる中、事故防止や安全運転の支援を目的としたドライバー状態把握の義務化、乗員の安全性を確保するための体格や姿勢、シートベルト装着状態の確認などに関する法規制強化の動きが進んでいる。ソニーセミコンでは、車室内のモニタリング精度を高め、ドライバーと乗員の安全性確保や事故防止に寄与することをねらいとする「IMX775」を市場投入する。
IMX775の最大の特徴は、車室内モニタリングカメラ用のCMOSイメージセンサーとして業界最小となる2.1µm(マイクロメートル)画素を採用しながら、940nmの近赤外光域(NIR)に対する業界最高クラスの感度も両立したこと。
高い解像度と、広い視野角を提供することで、車室内のドライバーと乗員をワンチップでモニタリングできるようにしている。また、NIRにおける高い量子効率(QE:Quantum Efficiency)により、低照度環境下でもドライバーの視線や乗員の状態を、昼夜問わず高精度に認識できるとアピールする。
露光時は、ローリングシャッター方式とグローバルシャッター方式をハイブリッドで駆動し、RGB撮像においては業界最高となる110dBのダイナミックレンジを追求。さらに、RGB画素に混入するNIR成分を除去するために、新開発の信号処理アルゴリズムを用いたオンチップ処理を盛り込み、色再現性も高めたという。
イメージサイズは1/2.64型(対角6.81mm)、有効画素数は約504万画素(2,593×1,945)、フレームレートは最大60fps(全画素読み出し)。
IMX775は、微細画素でも光から電子への変換効率(量子効率)を高めるために、画素内に凹凸構造を設け、さらにフォトダイオードの容量を増やすために画素構造を最適化。入射光を回折させて吸収率を高めることで、2.1µmという画素サイズにおいても35%という高い量子効率(波長940nmに対する効率)を追求した。
また、ワンチップでRGBとNIRによる高画質な撮像を実現するために、ハイブリッド露光方式を採用。
RGB撮像ではローリングシャッター方式に加え、オンチップで複数枚の画像合成処理を行うことで、110dBというワイドダイナミックレンジを達成した。これにより、車室内の明暗差の大きなシーンでも、高画質なRGB画像を生成できるとする。NIR撮像ではグローバルシャッター露光と、前出の高いNIR感度により、ドライバーの視線や瞬きなどの動きを高精度に認識できるとのこと。
一般的に、RGB/NIRセンサーはRGB画素にNIRの成分が混入するため、色再現が不自然になるのが課題とされる。
IMX775では、独自のNIR成分除去アルゴリズムを搭載した信号処理回路を盛り込むことで、NIR光照射下でも色再現性を強化。さらに、NIR画像の解像度を向上させるアップスケーリング機能や、フレームごとに任意の画素領域を切り出して出力するコンテキストスイッチング機能などの信号処理も内蔵しており、外部のISPを使わずにシステム全体の小型化が図れるとする。
車載用途に求められる品質に対応するため、自動車向けの信頼性試験基準「AEC-Q100」の「Grade 2」を量産までに取得予定。また、自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠した開発プロセスを導入し、自動車用安全水準「ASIL-B」にも対応した。これにより、車載カメラシステムの信頼性向上に寄与するという。
このほかにオプションとして、車載用途に求められるサイバーセキュリティにも対応。CMOSイメージセンサーの真正性を確認するための公開鍵アルゴリズムを用いたカメラ認証や、取得画像の改ざんを検知するための画像認証、制御通信の改ざんを検知する通信認証に対応できるようにしている。
電源電圧はアナログ3.3V、デジタル1.1V、インタフェース1.8V。MIPI CSI-2 シリアル出力(4lane/2lane)をインタフェースとして備える。パッケージサイズは9.35×8.05mmで、ベアチップまたは120pin BGAで提供する。



