ベルギーimecは9月29日、同社エグゼクティブバイスプレジデント兼共同最高執行責任者(EVP/COO)であるパトリック・ヴァンデナメーレ(Patrick Vandenameele)氏を次期最高経営責任者(CEO)に任命したことを発表した

2026年4月1日付けで現CEOのルーク・ファン・デン・ホーヴ(Luc Van den hove)氏の後任としてCEOに就任する予定で、Van den hove氏はimec取締役会の議長(imec会長)に就任し、将来の経営戦略に向けてCEOをサポートする。

  • imec現CEOのLuc Van den hove氏と次期CEOのPatrick Vandenameele氏

    imec現CEOのLuc Van den hove氏(左)と次期CEOのPatrick Vandenameele氏(右) (出所:imec)

次期CEOは多数のベンチャー起業やQorvo、HiSiliconでの勤務を経験

Vandenameele氏は1973年生まれで、imecの設立母体であるルーヴェン・カトリック大学(KULeuven)で電気工学の博士号を取得後、無線通信分野の研究者として1996年にimecに入社した。その後、起業家に転身し、複数のベンチャー企業を設立。うち3社はimecの技術を基盤として設立されたスタートアップで、この約20年の期間の半分をスタートアップで、残り半分をスタートアップを買収したテック企業で過ごしたという。

その後、QorvoやHuawei/Hisiliconといった半導体企業で上級管理職を務め、さまざまなデバイス/システム開発を指揮した後、2017年にimecに復帰。imecの研究者によるスタートアップの拡大に尽力してきたほか、2021年以降は現CEOの下で研究開発戦略の策定にあたってきた。

欧州の半導体産業の発展を支える研究組織へ

一方の現CEOであるVan den hove氏は、2009年に3代目のCEOに就任して以降、IDM、ファウンドリ、ファブレス、装置・材料メーカー、大学・研究機関との協業を積極的に行い、imecを世界最大・最高の先端半導体およびデジタル技術研究所に成長させてきた。2016年には、ベルギー・フランダース地方政府の要請もあり、フランダース地方の各大学に分散していたデジタル技術の研究開発組織であったiMindsを吸収合併し、新たに1500人の研究者を加え、imecのハードウェア技術とiMindsのデジタルおよびシステムに関する専門知識を融合させ、半導体システムの応用研究に注力する素地を作り上げている。

また、EU圏内に2nm以降の最先端デバイスの試作受託用パイロットラインを設置し、設計・開発・試作・応用のエコシステムを構築し、欧州における半導体産業を活性化するEU主導の「NanoICプロジェクト」のパイロットラインをimec本社キャンパスに誘致することにも成功。

imecは2025年末までにパイロットライン用の新クリーンルーム棟を着工する予定で、現在はデバイス試作に必須のPDK(プロセスデザインキット)の整備を進めつつ、多数の研究者の駐在に備えてimecタワー(高層のオフィス棟)の傍に新たな研究者向け居室棟の建設を始めている。これにより、先端要素プロセス技術の開発を行ってきたimecが、2nm超の先端デバイスの試作まで手掛ける研究機関に変身することとなる。

Van den hove氏は、Vandenameele氏とともに、NanoICプロジェクトを通して欧州の半導体産業の発展に寄与するとともに、今後は世界中のディープテック企業と協業して低消費電力AIチップの開発とその応用に注力して行くと述べている。