今や経済安全保障の要として、国会のさまざまな政策と切っては切れなくなった半導体産業。そのけん引役であるAIを筆頭に、自動車、産業機器、PC、スマートフォンとなければ生活に支障が出るものばかりに必ずと言ってよいほど搭載されている。

本稿では、市場の成長が続く半導体産業について、注目すべきニュースや技術トレンド、研究成果などをタイムリーにお届けしていく。

今回は、2025年9月22日~26日に発表された半導体関連の注目トピックスをいくつか紹介する。米国の半導体規制を受けて、自国産製造装置による半導体デバイス製造に注力する中国。最大のボトルネックとなっている露光装置について、新興企業Yuliangsheng Technologyが開発した液浸ArF露光装置をSMICが評価していると報じられた。

半導体の自国生産を推進する中国

露光装置は、プロセスに応じて波長をi線/g線、KrF、ArF、ArF液浸、EUVと短くしてきた。基本的に半導体製造(前工程)向け露光装置は日本勢のニコンとキヤノン、そしてオランダのASMLの3社で占められてきたが、キヤノンは液浸ArF開発で脱落。ニコンはArF液浸露光装置は事業化できたが、さらに微細なプロセスを可能とするEUVからは撤退。事実上、EUV露光装置はASMLの1社独占提供状態となっている。

そうした中、新興の中国企業がArF液浸技術を開発し、装置へと落とし込んだことは、もし商用に適すると判断されれば今後の露光装置市場を変える可能性が出てきたと言える。

そのYuliangshengに出資するSiCarrierも半導体製造装置メーカーであり、同社はHuaweiの支援を受けてArF液浸よりも微細化が可能なEUV露光装置の開発を進めているという。

2024年のデータセンター用半導体市場は2090億ドル規模

中国勢が先端プロセスの製造を可能とする露光装置の開発を推進する背景には、先端プロセスを活用することでAI半導体の性能向上が期待できるからだ。

AI半導体市場をけん引するNVIDIAやAMDなどはEUV露光装置を用いて先端プロセスを提供するTSMCに製造を委託しているが、中国勢は米国の規制を受けてTSMCにAI半導体の製造を委託することが難しい状況にある。そうなれば、国内のファウンドリであるSMICでの製造を委託することになるが、現状で7nm(5nmという噂もあるが)プロセスどまりで、しかもEUV露光装置を入手できていないため、旧来のArF液浸露光装置で複数回露光するマルチパターニングで製造しているとされる。そのため、歩留まりが上がらず、利益率を圧迫しているとも言われている。

このように注目されるAI半導体が適用される中心がデータセンターである。Yole Groupは、そうしたデータセンターに用いられる半導体のトレンドを調査したレポート「Data Center Semiconductor Trends 2025」を発表した。

それによると、2024年のデータセンター用半導体市場は2090億ドルで、内訳はロジック1310億ドル、メモリ760億ドル、オプト/センサ17億ドル、パワー/アナログ5億ドルとしており、ロジックが存在感を示している。ロジックの中でもGPUが圧倒的で、2024年は1000億ドル規模だが、2030年には2150億ドルにまで成長するとも言われており、AIサーバー市場の成長とともに、市場を拡大していくことが期待されている。

また、AIデータセンターが必要とする消費電力はGPUの高性能化に伴い増加傾向にあり、より電力効率を向上させることを目指した液冷分野にも注目が集まっているとしており、ロジック分野のみならず、さまざまな関連分野がAIデータセンターの成長とともに市場を拡大させていくことが見込まれるという。