日本の半導体人材育成に向けた9大学7拠点が決定
文部科学省(文科省)は、2026年度より実施する「半導体人材育成拠点形成事業(enSET:Education Network for Semiconductor Technologies)」として、拠点校となる9大学7拠点を採択したことを発表した。
同事業は、1990年代以降における日本半導体産業のシェア低下に伴う停滞を経て、関連人材の不足が日本の半導体産業の各層から指摘されていることを踏まえ、次世代の高度人材や基盤人材の持続的な育成に向け、各大学などの教育研究の強み・特色や、地域特性などを踏まえつつ、ネットワークを活かした教育プログラムの展開など、中長期的な視野に立った実践的な産学協働の教育体制の構築を目指そうというもの。
半導体の設計や製造のみならず、幅広いユースケースやマーケティングを見据えて社会実装を先導できる力を身に付けるため、拠点校を中心としたオールジャパンのネットワークを通じて主に大学院修士レベルの実践的教育プログラムを構築・展開し、産業やアカデミアの現場を支え、新たな価値創造をリードできる人材の育成を図っていくとしており、文科省では各大学などが有する強みや特色を活かした連携(ネットワーク構築)による人材育成を目指す先導的な事業と説明している。
複数の高等教育機関が連携した人材育成ネットワークを形成
そのため、拠点の申請にあたっては複数の大学や高等専門学校などの連携が基本となり、拠点が置かれた地域の産業やアカデミアの特性を活かしたネットワークを形成し、地域に求められる人材育成の展開や、地域の枠を超えて半導体分野における強み・特色(例えば特定の分野における卓越した教育研究力や集積回路の試作環境など)を活かしたネットワークを形成し、広域もしくは全国規模での人材育成を展開することが求められていた。
enSETで選定を行った委員会によると、今回の公募には12件の申請があり、拠点校は国立大学が11校(共同拠点校を含む)、私立大学は2校で、連携校も含めると大学などの数は延べ64校(国立大が47校、公立大が2校、私立大が6校、高等専門学校が9校)であったという。
また、審査に当たっては、申請のあった構想・計画が、大学間・産業界との連携体制が適切に構築された上での体系的かつ実践的な半導体教育プログラムであることに加え、「中長期的な将来を見据え、対象とする地域などの半導体に関する人材育成、研究力強化に貢献する連携体制となっているか」「拠点を構成する各大学などの教育研究などに係るポテンシャルを活かす連携体制となっているか」「教育プログラムが、拠点としての強み・特色を最大限に活かした上で、半導体に関する俯瞰力と実践力を身に付けるものとなっているか。また、複数分野・専攻などの学生の履修を念頭においた工夫がなされたものであるか」といった点などにも留意して進められたとする。
結果として、拠点校は「北海道大学」「東北大学」「東京科学大学」「名古屋大学」「大阪大学」「広島大学」「九州工業大学(九工大)」「熊本大学、九州大学(九大)」(九工大および熊本大、九大は1つの拠点となることを要件に採択)の9大学7拠点が採択されることとなった。
なお、同委員会は文科省に対し、今回選定した各拠点での取り組みの推進に必要な支援を継続するとともに、例えば、設計から試作、評価までを実施できる試作実習の環境整備や教材・コンテンツの共有化、国際的な連携体制の構築など、地域の枠を超えて必要となるオールジャパンとしての教育体制の強化が可能となるよう、来年度の予算を充実させることも要望している。
