宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXAによる研究開発成果を社会実装していく「JAXAベンチャー支援制度」を改正したと8月28日に発表。名称を「JAXAスタートアップ支援制度」に改め、支援の対象を拡大して施策の充実を図るほか、従来の認定制度から名称使用許可制度へと変更したのが大きな特徴だ。

  • 新旧制度比較イメージ

    新旧制度比較イメージ

JAXAでは、職員の新規事業創出による研究開発成果の社会実装と、これによる社会課題の解決、さらに宇宙航空産業の活性化を図るため、2004年にJAXAベンチャー支援制度を立ち上げ。一定の審査を経た企業を「JAXAベンチャー」として認定し、支援してきた。

現在の宇宙航空スタートアップエコシステムの急速な拡大を背景に、「機構職員がより技術シーズの事業化に挑戦しやすい環境を整え、JAXAの研究開発成果の社会実装を加速することや、増加するスタートアップ各社に対して支援策を広く提供することが重要」とし、新たなJAXAスタートアップ支援制度として改正したかたちだ。

今回の改正のポイントは以下の3点。

  1. 支援対象の拡大
  2. 認定制度から名称使用許可制度への変更
  3. 支援施策の充実化

JAXAの成果活用法人にも支援を拡大

JAXAスタートアップ支援制度では、支援対象となる企業カテゴリーをふたつ用意。従来のJAXAベンチャーにあたる企業を「JAXAスタートアップ」とし、JAXAの研究開発成果を活用するスタートアップが対象の「JAXAパートナースタートアップ」を新たに追加する。

  • JAXAスタートアップ ロゴ

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  • JAXAパートナースタートアップ ロゴ

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JAXAスタートアップの要件は以下の通り。

  • JAXAの知的財産又は機構の業務により獲得した知見を利用し開発した製品やサービスを市場に提供する事業を主たる事業としていること
  • JAXAの知的財産又は知見について必要な知識を有している機構の職員が取締役(合同会社においては業務執行社員)であること

JAXAパートナースタートアップでは、以下のいずれかに当てはまる事業を主たる事業として行うスタートアップを対象として申請を受け付け、支援対象とする。

  • JAXAとの共創及び共同研究活動において創出した成果を活用した、又は活用しようとする事業
  • 機構の特許等の許諾契約を締結し当該特許等を活用した事業
  • 機構が開発した機器等を譲り受け、これを活用した事業
  • 機構が実施する事業の移管を受けた事業

いずれも支援期間は最大10年間で、事業の成長戦略の提示が必要。なお、コンサルティングやアドバイザリー業務を主たる事業とする企業は対象外となる。

申請企業は「認定」ではなく「名称付与」に。旧JAXAベンチャーも支援継続

これまではJAXAベンチャーの認定にあたり、申請者の事業計画・リスクなどを審査会の中で審査してきたが、スタートアップの事業実態との乖離などが課題だったという。

新制度ではスタートアップの迅速な成長と柔軟な事業計画変更にも対応できるよう、要件を満たし“事業を成長させる意思を持つ企業”からの申請を受け付ける。それに基づきJAXAは、要件に適合する企業へ 「JAXAスタートアップ」「JAXAパートナースタートアップ」としての名称を付与する。ただし、新制度においてJAXAは、それぞれの企業や事業内容に関しては「認定」をしない。

旧制度で認定されたJAXAベンチャーの「認定」は、今回の制度改定後も引き続き有効とし、支援を継続する。なお、旧JAXAベンチャーの新規認定は、2025年8月28日以降は行わない。

従来以上に「実効性ある支援」を提供へ

JAXAによると、新制度における支援内容は、名称の使用許可にとどまらない。JAXAと連携関係にあるファンドの紹介や、提携機関によるスタートアップ支援策への推薦といった資金獲得・アクセラレーション支援のほか、各種イベントへの出展推薦といった広報支援など、さまざまな支援体制を整備。「これまで以上に実効性のある支援を提供する」としている。

さらに今回の制度改定に合わせて、これまでJAXAが個別展開していた民間共創施策や支援施策を、「スタートアップ支援策」として再整理・体系化。新制度の対象企業に限らず、広くスタートアップへ展開していく。個別施策内容そのものに変更はなく、より多くのスタートアップがJAXAとの連携可能性を見出せるよう、新制度と接続した支援体系として運用するとしている。

  • 支援施策内容イメージ

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