米トランプ政権が、米国の半導体製造業の象徴的な存在であるIntelの再建にむけて同社と同社の株を取得する形で資金援助することを協議していると米国の複数メディアが伝えている。

またトランプ大統領は、台湾の相互関税を20%から日韓なみの15%に引き下げる条件として、TSMCがIntelの株式49%を取得し、4000億ドルを米国に追加投資することを挙げていると一部の台湾メディアが報じている。

さまざまな憶測が飛び交うIntelを取り巻く情勢だが、ホワイトハウスは、うわさにはコメントしていないとしている。

米国の半導体関税は最大300%の可能性

さらにトランプ大統領は8月15日(米国時間)、記者団の半導体関税に関する質問に答える形で「来週(18日から始まる週)かその次の週に半導体に関税を発表する予定だ。最初は低い税率で、外国企業が米国に参入して生産を始める機会を与え、一定期間後に(米国に工場進出しない半導体メーカーに)非常に高い税率に上げる予定だ。200%か300%になるかもしれない」と、将来的に税率を引き上げていく考えを明らかにした。

米商務省BIS(産業安全保障局)は、半導体課税実施に当たり、下記の項目について民間に情報提供を求めるとともに、パブリックコメントを4月16日付けの米国連邦官報で募集していた。

  1. 半導体製品および半導体製造装置の種類別/技術ノード・サイズ別の米国での現状の需要と予測
  2. 米国内での生産能力が半導体や製造装置需要をどれだけ賄えるかの情報
  3. 米国企業の外国ファウンドリやOSATへの依存状況
  4. サプライチェーンが集中することによる供給リスク
  5. 外国の補助金や不公正貿易慣行の米国企業への影響
  6. 世界的な生産過剰や国家主導のダンピングよる米国の経済的損失
  7. 外国政府による輸出規制リスクや技術の軍事利用リスク
  8. 米国での生産能力拡張の実現可能性(特に半導体製造装置についての可能性)
  9. 現行の米国政府の政策(関税や数量割当)の効果と追加措置の必要性
  10. 米国でしか製造できない半導体製造装置
  11. 米国以外でしか製造されていない半導体製造装置(例えばEUV露光装置)
  12. 米国では製造されていない半導体製造装置の部材や付帯設備
  13. 米国の半導体・製造装置関連の人材の海外とのギャップ
  14. その他の関連データおよび分析に関する情報

民間からの情報提供と意見は5月9日に締め切られ、分析には3か月を要するとしていたので、すでに分析は終了したものと言える。

米国内で得られる半導体製品や製造装置、半導体技術とそうではないものを区別して、さらには、米国へすでに進出しているか否か(計画含む)を区別して課税するといった具合いに複雑な税制となる可能性もある。

高関税が賦課された場合、米国進出を計画していない日本の半導体メーカーへの影響は大きくなりそうである。例えばソニーセミコンダクタソリューションズはCMOSイメージセンサ(CIS)を日本国内でしか製造していないこともあり、主要顧客であるAppleが、Samsung Electronicsのテキサス工場から新型のフォトダイオード・ピクセルトランジスタ ・ロジックの3層構成の新型CISを調達する可能性を一部のメディアが伝えている。

キオクシアもNANDを日本でしか製造していないが、競合の韓国勢は米国に工場を構えている(計画含む)ため、課税免除となる可能性がある。ファウンドリのラピダスも潜在的顧客である北米の30~40社に対してセールス活動を行ってるとしているが、戦略の見直しを迫られる可能性がある。