去る7月23日~25日、千葉・幕張メッセにおいて、AIに関する製品やサービスを一堂に集めた展示会「AI World 2025 夏 東京」が開催された。会場では、AIデータ分析・解析や画像・音声認識、自然言語処理、需要予測・分析、AIモデル作成ツールなど、ビジネス変革・業務効率化を加速させる最新のAIソリューションが紹介されており、課題解決のヒントや商談の機会を求める数多くの来場者で賑わっていた。ここでは出展企業のうち、ワークステーション最新モデルを出品してローカル環境での画像生成やLLM(大規模言語モデル)のビジネス活用を提案した日本HPのブースの様子をご紹介しよう。

  • 「AI World 2025 夏 東京」の会場風景

    AIに関する製品やサービスを一堂に集めた「AI World 2025 夏 東京」の会場風景

最新のグラフィックスで究極のAIパフォーマンスを実現

性能の高さと安定性、高稼働率などによりプロフェッショナルユーザーから支持を集め、2024年国内ワークステーション市場シェア1位を獲得した日本HP(出典:IDC's Worldwide Quarterly Workstation Tracker Share by Brand, 2024 Q4)。

同社のブースでは、ノート型からタワー型までワークステーション主要製品の最新モデルが展示され、一部についてはデモンストレーションも実施されていた。また日本HPおよび共創パートナー企業によるトークセッションも開催され、最新のAI技術やローカルLLMの活用術などが紹介された。

  • 日本HPのブース

    日本HPのブース

  • トークセッションの様子

    日本HP自身や、AMD/NVIDIA/メタデータなどの共創パートナー企業によるトークセッションも開催されていた。取材時はAIに関するコンサルティングや開発・導入支援などを行うベンチャー企業の調和技研によるセッションが行われていた

そのうち展示の目玉となっていたのが、フラグシップモデル「HP Z8 Fury G5 Workstation」を使ったデモンストレーションだ。同製品は最大4枚のハイエンドグラフィックスカードを搭載できる拡張性に優れたタワー型デスクトップPC。会場にはその実機が2台用意され、片方に最新のグラフィックスカード「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition」が、もう片方に一世代前の「NVIDIA RTX 6000 Ada」が搭載された状態で稼働していた。

  • 「HP Z8 Fury G5 Workstation」を使ったデモンストレーションの様子

    「HP Z8 Fury G5 Workstation」を使ったデモンストレーションの様子

いずれもStable Diffusion上でAIモデルのFLUXを使用してローカル環境で画像生成を行なっていたが、Adaの方が画像1枚あたり13~14秒かかっていたのに対し、Blackwellの方はわずか6秒ほどで完了しており、そのAIパフォーマンスの高さに来場者の注目が集まっていた。

  • NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition搭載モデルでの画像生成

    NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを搭載したモデルで画像生成しているところ。1枚あたり6~7秒で生成されている

  • NVIDIA RTX 6000 Ada搭載モデルでの画像生成

    NVIDIA RTX 6000 Adaを搭載したモデルで画像生成しているところ。1枚あたり13~14秒で生成されている

ちなみに、AdaにはGPUメモリが48GB搭載されているのに対し、Blackwellは倍の96GB搭載されている。そのため、より多くのメモリを必要とするAIモデルも動作させることができる。また画像生成しながら他の生成AIを実行するようなことも可能。会場では、実際にStable Diffusionで画像を生成しながらMeta Llama 3.3 70Bで文章生成や英訳をするデモも行われていたが、それでもまだメモリに余裕があり、動作も非常にスムーズだった。

  • サイドパネルが外された「HP Z8 Fury G5 Workstation」

    「HP Z8 Fury G5 Workstation」はサイドパネルが外されて、中に搭載されているグラフィックスカードが視認できる状態になっていた

日本HPによると、現状だと生成AIのプロンプトは英語で記述した方が日本語よりも高品質な結果が得られやすいとのこと。BlackwellならGPUメモリに余裕があり、日本語プロンプトを英訳しながら画像生成を実行するようなことも容易なので、ビジネスなどで活用する際もAdaなどに比べるとアドバンテージが大きいとのことだった。

  • 画像生成と文章生成を並行して行っているところ

    NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを搭載したモデルで画像生成をしながら(画面右側)、Meta Llama 3.3 70Bで文章生成を行なっているところ(画面左側)。GPUメモリの使用量はこの状態で76GBほどで、まだ余力が残されていた

ノート型からタワー型までワークステーション最新モデルを展示

このほかにも日本HPのブースでは、AMDのSoCを採用してシステム全体で最大125TOPSのAIパフォーマンスを実現した「HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation」や薄型軽量の「HP ZBook 8 G1a 14inch Mobile Workstation」などのノート型ワークステーションが展示されていた。

  • HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation

    システム全体で最大125TOPSを実現した「HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation」

  • HP ZBook 8 G1a 14inch Mobile Workstation

    厚み18.95mm、質量約1.44kgという薄型軽量ボディの「HP ZBook 8 G1a 14inch Mobile Workstation」

また、超小型デスクトップ「HP Z2 Mini G1a Workstation」や、最大96コアのAMD Ryzen Threadripper PRO CPUを搭載したタワー型「HP Z6 G5 A Workstation」などの実機も設置。製品によっては筐体のカバーが取り外され、内部の構造やパーツを確認できるように展示されていたものもあった。

  • HP Z2 Mini G1a Workstation

    モニタの背面に取り付けることもできる超小型デスクトップ「HP Z2 Mini G1a Workstation」

  • HP Z6 G5 A Workstation/HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation

    AMD Ryzen Threadripper PRO CPUを採用した「HP Z6 G5 A Workstation」。右は「HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation」

さらにブースでは、ホストマシンに搭載されているハイエンドGPUを、ネットワーク越しにクライアントPCで利用できる技術「HP Z Boost」も紹介されていた。高性能なGPUを搭載していないPCでも高速なAI処理ができるうえ、ホストマシンを老朽更新するだけでクライアントPCでも最新のGPUを利用できるようになるのが特徴だ。

生成AIというと、ChatGPTのようにクラウドベースのサービスを思い浮かべる人も多いと思うが、データの漏えいリスクなどが伴うため企業や団体によっては使用が禁止されている場合もある。しかし、ここ最近、ワークステーションの性能向上や、パラメータ数70B以下のAIモデルが多数登場したことにより、ローカル環境でLLMを動作させることも現実的になってきた。

日本HPでは今回の展示などを通して、そのビジネスでの活用法や同社のソリューションの優位性を訴求していきたい考えとのこと。生成AIのビジネス活用に関心がある企業や団体の担当者は、今後の動向にもぜひ注目してみてほしい。