ルネサスの2025年第2四半期決算はWolfspeedの支援で損失を計上
ルネサス エレクトロニクスは7月25日、2025年第2四半期の決算発表を行った。
それによるとNon-GAAPベースでは売上高は前年同期比9.5%減、前四半期比5.1%増、事前予想比7.5%増の3246億円、売上総利益率は56.8%、営業利益は前年同期比187億円のマイナス、前四半期比80億円のプラスとなる919億円、純利益は前年同期比189億円のマイナス、前四半期比45億円のプラスとなる778億円とするが、IFRSベースでは、売上高は前年同期比10.2%減の3255億円、営業利益は同75.2%減の398億円、純損益は同597億円の利益から、2013億円の損失へと赤字転落した。
赤字転落の理由としては、米Wolfspeedが米国破産法第11章(Chapter11、日本の民事再生法に相当)を申請し、その支援の一環として同社に提供している預託金に係る預託金債権について約2350億円の損失を計上したためである。
ただし、この数値はすでに織り込み済みであり、ルネサスの代表執行役社長兼CEOである柴田英利氏は、決算説明会にて「第2四半期については概ねサプライズはなく、Wolfspeedの件も従前の予告通り(約2500億円の損失計上の可能性)に着地した」と発言。日米関税交渉についても「一定の結論が見えたということで非常に素晴らしいと思っている。政府として考えうるベストな結果を出してくれたと思っている」と日本政府の動きを評価しつつも、不透明感は残っているとの見方を示している。
販売の増加で稼働率が向上
事業部別で業績を見ると、いずれもNon-GAAPベースで自動車向けの売上高が前年同期比15.0%減、前四半期比4.2%増の1618億円となっている。車載SoCの減損損失があった結果、営業利益率が前四半期比で6.3ポイントマイナスしたが、その影響を除けば前四半期比ではほぼフラットな状態を維持したとする。また、一方の産業・インフラ・IoT向けの売上高は前年同期比2.9%減、前四半期比7.0%増の1613億円としている。
このほか、同四半期の稼働率は6インチラインが前四半期比で低下したものの、それ以外は前四半期比で上昇しており、当初の想定よりも若干の増加となったと同社でも説明している。もともとは全体平均で40%半ばとの見通しであったが、50%弱まで引き上げられたとのことで、さまざまな製品の販売が増加したことが大きいとするほか、4月半ばに生じた那珂工場の停電からのリカバリ生産による部分もあるとする。第3四半期については、前四半期比でフラットと見ており、40%半ばから後半程度の稼働率を見込むとしている。
第3四半期はデータセンターとモバイル関連の成長に期待
第3四半期の見通しについて同社では売り上げの中央値を3300億円(±75億円)としている。これは前四半期比1.7%増、前年同期比4.4%減(中央値で比較)とするが、為替の影響を除いたデバイス売り上げとしてみると、前四半期比2.0%増、前年同期比4.9%減となるとしている。また、営業利益率は第2四半期の28.3%から27.0%に悪化する見通しだが、OPEXの増加が要因としており、内訳として研究開発費が7割、SG&A(販売費および一般管理費)が3割としている。
なお、柴田CEOは第3四半期の見通しについて、AIに従来型サーバを含めたデータセンターおよびモバイル関連が堅調に伸びることから、産業・インフラ・IoT分野でのしっかりとした伸びを見込む一方、自動車関連のスローダウンが見えており、全体としてフラットと見ているとするほか、全体感として関税の影響が不透明なままで、その点もリスクとして織り込んだ見通しと述べている。