市場予測を上回る業績を達成
ASMLは7月16日、2025年第2四半期(4〜6月期)の決算業績を発表した。
それによると、同四半期売上高は前年同期比23%増の77億ユーロ、純利益は同45%増の6623億ユーロ、粗利益率は同2.2ポイント増の53.7%で、いずれも市場予測を上回った。
また同四半期の新規受注額は55億ユーロで、そのうち23億ユーロがEUVとしている。AI半導体による先端プロセスニーズの高まりがEUVの需要を押し上げている模様である。
ASMLの社長兼最高経営責任者(CEO)であるクリストフ・フーケ氏は、「同四半期の売上高はガイダンス上限で、粗利益率53.7%はガイダンスを上回る結果となった。これは主に露光装置のアップグレードの増加と、コスト削減による一時的な利益によるものである。特にDRAMでは、リソグラフィの生産性向上が継続的に進んでおり、TWINSCAN NXE:3800E(EUV露光装置)の導入はこの勢いをさらに強化するものである。一方、高NA EUVの導入も計画通りに進んでおり、第2四半期に量産用高NA EUV露光装置の初号機を出荷した」とEUV露光装置に対する需要が高いとするが、「2026年を見据えると、AI関連からの需要の高止まりは継続すると考えているが、マクロ経済および地政学的な動向を背景に不確実性も高まっており、成長に向けた準備を進めているものの、現段階では確約することはできない」と述べ、2026年の状況が不確実であることを強調した。
量産用高NA EUV露光装置の初号機を出荷
第2四半期に初号機が出荷されたという高NA(NA=0.55)EUV露光装置「TWINSCAN EXE:5200B」は、解像度8nmで毎時175枚以上のスループットとされる。納入先は明らかにされてないが、過去にIntelが最初の発注者であることが発表されている。Intelのほか、TSMCやSamsung Electronics、SK hynixなども発注済みで、順次納入されていくとみられている。また、TSMCではより高スループットなTWINSCAN EXE:5200Cの数年以内の導入および2030年代でのN=0.75のHyper-NA EUV露光装置の導入に向けて研究を進めている模様である。
同四半期の露光技術別出荷割合を見ると、EUVが48%、ArF液浸が43%となっているほか、用途別としてはロジックが69%、メモリが31%となっている。また、主な国・地域別割合は台湾が35%(第1四半期16%)、中国が27%(同27%)、韓国が19%(同40%)、米国が10%(同16%)、日本が5%(同1%)となっている。
また、EUV露光装置の販売台数は11台(第1四半期は14台)で、代わりにArF液浸露光装置が第1四半期の25台から31台に増加している点、ならびに毎四半期ごとにKrFやi線が2桁台数の販売を維持している点が注目される。
なお、同社は第3四半期の見通しとして、売上高を74億~79億ユーロ、粗利益率を50%~52%としているほか、2025年通期売上高を前年比約15%増、粗利益率を約52%と予想しており、2030年の年間売上高について約440億~600億ユーロ、粗利益率約56%~60%の達成を目指すとしている。