キヤノンの成膜装置が第55回 機械工業デザイン賞 IDEAの最優秀賞を受賞
キヤノンは7月16日、同社グループのキヤノンアネルバが2024年10月に発売した成膜装置シリーズ「Adastra(アダストラ)」が、「第55回 機械工業デザイン賞 IDEA」において最優秀賞である「経済産業大臣賞」を受賞したことを発表した。
デザイン性と高い性能の両立を実現
Adastraは、半導体デバイス・電子部品の配線層や機能膜などを形成する工程におけるさまざまなニーズに対応することを可能とした成膜装置。従来、半導体製造装置というと四角い外見に配管などがつながっているという無骨なデザインであったが、Adastraはキヤノンの総合デザインセンターの協力を設計段階から得る形で開発を進めることで、八角形の搬送室の周囲に五角形の処理室を配置したデッドスペースのない装置構成や造形の工夫を施すことで、メンテナンス性などを配慮しつつ、電源の改良による小型化を実現。その結果、ケーブル使用量は従来機(NC7900)比で7割削減できたほか、フットプリントも3.3m×4.0m(シングルコア時。タンデムコアの場合は5.6m)と、同42%削減。外にはみ出る部分やケーブルが減ったことから、設置コストや設置工数も削減できたとする。
2024年12月開催のSEMICON Japan 2024のキヤノンブースに展示されていたAdastraの1/6スケールモデル。実に半導体製造装置らしくない恰好の良いデザインが特徴である (筆者撮影)
また、処理室の鋭利な構造部をカバーで覆うことで安全性に配慮したとするほか、人間工学に基づいた設計によるメンテナンス作業時の身体的負荷の軽減を図るなど、操作性の向上も図られている。
さらに、装置モニターのUIにおいても、色彩やアニメーションを効果的に活用することで、ユーザビリティの向上を図るなど、製品の細部に至るまで精度の高いデザインを実現しており、すでに「2024年度グッドデザイン賞」の金賞を受賞しているほか、ドイツの「iFデザインアワード2025」でも金賞を受賞するなど、国内外でそのデザインに高い評価を受けているという。
機械工業デザイン賞 IDEAにて同社の製品が入賞するのは、今回でグループ会社含めて18回目で、最優秀賞の受賞は、1981年以来2回目となるという。
なお、キヤノンでは今回の受賞を励みとして、今後も性能とデザインを高度に融合させた製品づくりを続けていくとしている。