TrendForceによると、2025年第1四半期のエンタープライズSSD市場は、いくつかのマイナス要因が重なった結果、主要顧客が受注を縮小し、平均販売価格(ASP)が前四半期比で約20%の下落が生じるなどしたこともあり、上位5社のほとんどが前四半期比で売上高の2桁マイナスを記録した模様である。
背景には、次世代AIシステムの生産上の課題や北米における在庫過剰の長期化などがあったとされるが、その一方でTrendForceでは、第2四半期はNVIDIAの次世代GPU製品の出荷が増加するにつれ、北米におけるAIインフラの需要が高まるほか、中国のCSP(クラウドサービスプロバイダ)のデータセンターストレージ容量の増加の動きも進むことで、エンタープライズSSD市場はプラス成長に転じると予想されるとしている。
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2025年第1四半期のエンタープライズSSDベンダ売上高ランキングトップ5。Western Digitalが2024年10月にNAND事業をSanDiskとして分離したため、2025年第1四半期以降はSanDiskとして集計 (出所:TrendForce)
各社の動き
各社の第1四半期の動きをみると、売上高トップのSamsung Electronicsの売上高は、季節要因と需要の低迷により前四半期比34.9%減の18億9000万ドルにとどまった。しかしながら、PCIe 5.0製品の出荷は引き続き増加しており、先進インタフェース技術の市場シェアが着実に拡大しているという。
2位のSKグループ(SK hynixとSolidigm)の売上高は、主要なAIインフラ顧客による戦略調整の影響で同56.8%減の9億9300万ドルにとどまった。同社は、新たな取り組みの一環として、TLCおよびQLCベースのPCIe 5.0 SSDを含む次世代ストレージ技術の開発を加速させることで巻き返しを図ろうとしている。
3位のMicron Technologyの売上高は同27.3%減の8億5200万ドルとなり、韓国勢と比べて影響は限定的であった。エンタープライズSSP市場に吹いた逆風にもかかわらず、同社は2024年からの大容量製品の出荷持ち越しとPCIe 5.0製品の段階的な増産のおかげで、緩やかな影響に留めることができた模様である。
4位のキオクシアの売上高は、季節的な軟調さとサーバーOEM顧客からの注文が予想を下回った影響を受け同21.8%減の5億6600万ドルに留まった。
そして5位のSanDiskは同四半期に製品出荷数を伸ばした結果、売上高を2億3200万ドルとしている。同社は大容量ストレージソリューションの強化を図っており、最大1PBの容量を誇るSSD製品を発売した。これは、技術と市場洞察の両面における同社のリーダーシップを改めて示すものと見られている。