筒井経団連が始動 !「将来世代への責任を果たす」

「中長期の視点」と「日本全体の視点」を大事に

「内政、外交ともに難しいカジ取りを迫られる時代だからこそ、常に世界の動きを見据え、『中長期の視点』と『日本全体の視点』を大切にし、『フロントランナーとして将来世代への責任を果たす経団連』を目指す」――。こう力を込めるのは、経団連会長に就任した筒井義信氏。

 5月29日、経団連は総会を行い、会長には日本生命保険前会長の筒井氏が選任された。金融業界から、また非上場企業からの経団連会長就任は初めてのこと。

 経団連は24年12月、「FUTURE DESIGN 2040」を公表。2040年を見据え、日本の未来社会の姿と、その実現のための政策を提言した。大きな柱は「科学技術立国」と「貿易・投資立国」の実現。

 そのための重要施策として「イノベーション」、「税・財政・社会保障の一体改革」、「地方創生」、「労働改革」、「経済外交」の5つを挙げている。

 いずれも実現に向けては様々な課題があるが、社会保障制度改革について筒井氏は「世代間対立を極小化していく努力が必要。給付と負担の構造を見える化し、国民的な議論を巻き起こして、現役世代の負担軽減につなげたい」とする。

 イノベーションについても「日本の研究力の低下がさらなる研究人材の減少を招き、ひいては産業競争力の低下を招きかねないという、強い危機感を持っている」と筒井氏。

 だが今は、米トランプ政権が関税政策を打ち出すなど、世界的な分断が深まる。日本としてどう向き合うかが問われるが、筒井氏は「交渉を通じて、両国間の隔たりが少しでも埋まり、ゆくゆくは全ての懸案が解消することを期待する」と話す。

 筒井氏とともに、コマツ会長の小川啓之氏、富士通社長の時田隆仁氏、みずほフィナンシャルグループ社長の木原正裕氏、トヨタ自動車社長の佐藤恒治氏が新たに副会長に就任。

 トランプ関税にしても、社会保障にしても、大企業と中小企業、都市部と地方部など、立場が違えば影響度や利害も違ってくる。そうした様々な意見を束ねて、時に政府にも物申すことができるか。筒井氏の双肩にかかる。