NECは5月30日、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業戦略説明会を開催した。同説明会は「BluStellar 2025 ~NECの次なる成長を牽引するBluStellarの戦略~」と題して、NECの価値創造モデル「BluStellar」に重点を置いて、DX事業の進捗状況および今後のDX事業戦略が説明された。
説明会には、NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏、同社 執行役 Corporate SEVP 兼 CDOの吉崎敏文氏が登壇した。
NECの価値創造モデル「BluStellar」って?
NECは「先進技術の実装とDXの実践により、自らを変革し続け、顧客と社会の変革をリードする存在となる」ことを同社の果たすべき役割として捉え、AIやセキュリティといった分野で、顧客と社会のDXを加速させてきた。
その中で「BluStellar」は、これまでのNECの実践知を通じて、顧客の変革を成功へ導く価値創造モデルとして2024年に発表された。
「これまでのDXの取り組みを体系化」「従来ビジネスからの脱却」「グローバル潮流を捉えた事業モデルの変革」という3点を目指すBluStellarは、従来とは全く異なるビジネスモデルを持つ。
「従来型のビジネスが『お客さまの要望』が起点となっていたのに対して、BluStellarは『お客さまの真の経営課題』を起点とします。また提供するサービスも、『お客さま固有の事情に応じてカスタマイズされたSI』ではなく、『SIの膨大な知見・実績を基に型化されたサービス』が提供されます」(森田氏)
BluStellarは、DXを実現する約500商材の「プロダクト/サービス」、それらを顧客ニーズに合わせて組み合わせた約150セットの「オファリング」、さらにオファリングを経営課題軸で束ねて型化した30セットの「BluStellar Scenario」で構成される。
BluStellar Scenarioは、顧客との共創事例やNEC自身の実装経験から、その成功要因を抽出し、徹底的に分析した上で、利用するオファリングの組み合わせやアプローチを最適化して型化している。これにより、顧客は迅速かつ高品質なシステム実装と、精度の高い価値創出を実現できるという。
BluStellar Scenarioの高度化
今回、同社はBluStellarを中核とするDX事業を強化することを発表、これまでに築き上げた優位性に加えて、新たな取り組みによってさらなる事業拡大を目指す。
具体的には、生成AI技術を生かしたBluStellar Scenarioの高度化と製造業や航空宇宙産業、金融業、通信業、ガバメント領域などの業種シナリオの拡充とともにグローバルへの展開を進める。これらにより、多様な業種・領域における顧客の業務変革とビジネス拡大に貢献していくという。
「2026年には『BluStellar Scenarioの拡充』として、グローバルアライアンスの拡大と海外グループ会社とのシナジー創出を目指します。さらに、『BluStellar Scenarioの高度化』として、Agentic AIのシナリオへの取り込みを実施予定としているほか、『成長を支えるコア技術の強化』を図ります」(吉崎氏)
IFSとの戦略的提携を発表
BluStellar Scenarioの拡充の取り組みの一環として、IFSとの戦略的提携による業種シナリオの拡充を進めるでことが発表された。
NECは、IFSとの戦略的提携を通じ、両社が有する高度な技術力やソリューション、ノウハウを融合したクラウドサービスをBluStellar Scenarioに加え、より幅広い業種・領域の顧客に提供していく構え。
これまでのグローバルパートナーとの戦略的提携で培ってきた業務シナリオの拡充だけでなく、業種シナリオにおいてもパートナリングを通じた拡充を加速させるという。
会見の最後に吉崎氏は、今回の発表のまとめとして「社内外のDX事例から成功要因を抽出し型化」「業種・業務特化型シナリオの拡充・高度化」「地域カバレッジの拡大・グローバル展開へ」という3点を改めて説明し、BluStellarの進化で成長を加速させていくことをアピールしていた。