富士経済は、さまざまな分野のデジタル化で需要の増加が続くパワー半導体向けウェハ市場の調査レポート「2025年版 パワーデバイス向けウェーハ市場の最新動向・技術トレンド」を発行したことを発表した。

同レポートは、パワー半導体向けウェハとして、シリコンウェハ、SiCベアウェハ、SiCエピウェハ、GaNウェハ、酸化ガリウムウェハ、ダイヤモンドウェハ、窒化アルミニウムウェハ、二酸化ゲルマニウムウェハの8品目を対象としたもので、市場動向やトレンド、技術課題・方向性、製品展開・開発状況などの調査を踏まえて、将来を予測したものだという。

SiCベアウェハ市場は2035年には6195億円に成長

それによると、シリコンパワー半導体を上回る特性を有するSiCウェハ(ベアウェハ)市場は、2024年に市場の需要鈍化があったものの中国メーカーによる販売の増加に伴い、販売数量(平方メートル)は前年比81.9%増と伸びたが、市場規模については中国勢の攻勢による6インチ(150mm)ウェハの価格下落の影響があり、同46.1%増の1436億円にとどまったとする。

また、2025年については、一部のパワー半導体メーカーが8インチSiCパワー半導体の生産ライン向け設備投資を先送りしていることもあり、販売数量(平方メートル)および市場規模はともに前年比20%増程度に留まると予想されるという。

今後は、8インチSiCウェハの販売が増加していくことが良そうされるものの、中国勢を中心とする価格競争の激化に伴い、販売数量(平方メートル)は順調に伸びるものの、市場規模はそこまでの伸びにはならないと予想。口径についても、現状、6インチが枚数として9割を占めているが、今後についても6インチが中心となるとするほか、8インチについては中国などで外販が始まっていることから、2026年以降、その市場規模を増していくと予想され、SiCウェハ全体の市場規模として2035年には2024年比4.3倍となる6195億円まで成長すると予測している。

  • SiCウェハの市場推移予測

    SiCウェハの市場推移予測 (出所:富士経済)

2026年以降の市場立ち上げが予測されるダイヤモンドウェハ

ダイヤモンド、窒化アルミ、二酸化ゲルマニウムなどの次々世代パワー半導体(次世代パワー半導体とされるのはSiCとGaN)市場の中でも、究極のパワー半導体材料とも呼ばれるダイヤモンド半導体向けウェハについては、2026年から市場が立ち上がると予測。現状、1インチウェハや15mm角の単結晶ウェハの開発が進められているが、ウェハメーカー各社は2インチウェハの早期実用化を目指して研究開発を進めており、2インチウェハの実用化がなされれば、ダイヤモンドパワー半導体の市場形成が加速するとの見方を示す。

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