TSMCのA16プロセス向け認定を取得

Ansysは4月23日(米国時間)、TSMCとの継続的な協業を通じて、無線周波数(RF)設計移行とフォトニック集積回路(PIC)のためのAI支援ワークフローの強化と、半導体ソリューションの新たな認定を発表した。

それによると、TSMCの最先端プロセス「A16(1.6nmプロセス)」向けにマルチフィジックスプラットフォーム「RedHawk-SC」、「RedHawk-SC Electrothermal」、「Totem」が対応し、アナログ/ブロックレベルおよびSoCレベルのエレクトロマイグレーション(EM)および電圧降下(IR)解析用のクラス最高のバックサイド電源供給ソリューション「Super Power Rail」の認定を取得したという。 また、A16プロセスでの高い信頼性に基づく熱管理の実現のために、精密な熱解析フローを協力して開発。この手法では、TSMCの熱仕様を活用し、正確な温度計算を提供し、高度なアプリケーションでの性能を向上させることができるようになるという。加えて両社は、TSMCの次世代プロセス「A14(1.4nm)」向けの設計イネーブルメントに関する協力関係も継続して行っていくとしている。

5nm/3nm向けにも新ソリューションの認証を取得

さらに、AnsysはTSMCの5nmおよび3nmのオンチップ電磁界解析に対応することを目的に、新たなHFSS-IC製品ファミリーとしてオンチップ電磁界ソリューション「RaptorX」を組み込んだ「HFSS-IC Pro」を発表。すでに5nmおよび3nmの認証を取得済みだという。

このほか、両社はAIを活用した取り組みも推進。例えば「Ansys optiSLang」プロセス統合および設計最適化ソフトウェアのAI機能を活用することで、COUPE設計ソリューションの改良を進めることで、「Ansys Lumerical INTERCONNECT」によるフォトニックIC(PIC)の最適化が可能となり、「Ansys Zemax OpticStudio」による光結合システムの最適化とロバスト性解析を支援することができるようになるとする。

Synopsysを加えた3社での協業も強化

また、両社にSynopsysを加えた3社は、Ansys HFSS-IC Pro AIテクノロジーとSynopsys Custom CompilerおよびASO.aiソリューションを組み合わせたAI支援RF移行フローの強化により、アナログICおよびRF ICのシリコンプロセスから別のプロセスへの移行を加速することを可能としたともしている。同フローは、設計意図と性能を維持しながら、デバイスの配置、配線の最適化、EMを考慮したチューニングを自動化し、EMの課題を予測して軽減することで、高度なRFアプリケーションでシグナルインテグリティ、電力効率、製造性を確保することを可能としたという。

なお、RedHawk-SC、RedHawk-SC Electrothermal、Synopsys 3DIC Compilerは、TSMC、Ansys、Synopsysが共同で開発したマルチフィジックスサインオフ解析フローイネーブルメントプラットフォームに統合されており、抽出、タイミング、パワー、EM/IR、熱解析を可能としており、これらの解析データは、共有データフローを介してリンクされ、熱を考慮したタイミング解析と電圧を考慮したタイミング解析をサポートしており、これにより顧客が大規模な3D-IC設計の収束を加速させることを可能としたとしている。