米国が半導体輸入に対する調査を開始
米トランプ大統領が先週、半導体や半導体を搭載した電子機器についての調査を行い、半導体関連の税率を近く発表することを記者団に語った。これに併せる形で米商務省は、医薬品およびその原料とともに、半導体とその派生品と半導体製造装置(部品を含む)を対象に、これらを輸入に頼っていることが米国の国家安全保障にどの程度影響するかについて4月1日より調査を開始したことを明らかにした。
商務省産業安全保障局(BIS)は、トランプ政権の指示で44月14日(米国時間)、半導体、半導体製造装置、および半導体搭載電子機器(スマートフォン、パソコンなど)の米国輸入品への関税賦課計画を前進させるため、4月16日付け米連邦官報に「半導体および半導体製造装置の輸入」が米国の国家安全保障に与える影響を調査する公告を掲載すると発表した。掲載後21日間は情報提供や意見公募を行うという。
BISがパブリックコメントとして求めている主な半導体関連情報や意見には以下のようなものが含まれている。
- 半導体製品別・ノードサイズ別の米国での需要予測と現状
- 米国内の生産能力が需要を賄える量の情報
- 外国ファウンドリや後工程(組立・テスト・パッケージング)への依存状況
- 輸入元の集中度とそれによる供給リスク
- 外国の補助金や不公正貿易慣行による米国企業への影響
- 価格の人為的低下(国家主導の過剰生産など)による米国企業の経済的損失
- 外国による輸出規制リスクや兵器化の可能性
- 米国での生産能力拡張の実現可能性(半導体製造装置を含む)
- 現行の政策(関税や割当)の効果と追加措置の必要性
- 米国半導体製製造装置でしか製造できない半導体製品とその技術ノード
- 海外でしか製造されておらず、米国品と競合がない半導体製造装置(露光装置など)
- 米国外にしか存在しない半導体製造装置の部材
- 米国の半導体・製造装置関連の人材の海外とのギャップ
これらの調査は、通商拡大法232条に基づくもので数か月間続く可能性がある。同法に基づき、商務長官は270日以内に調査結果を提出することが義務付けられているが、トランプ大統領は、可及的速やかに調査を完了することを求めている。
半導体製造装置やスマホ、PCの関税適用は今後どうなる?
米国の税関・国境警備局は今回の発表に先立ち4月11日に、半導体製造装置と携帯電話(スマートフォン)、コンピュータ、メモリ、LED、薄型ディスプレイ、その他の電子機器など輸入品20品目に対する相互関税を適用除外としたと通知した。