ソニーは、測距性能を高めながら、世界最小・最軽量のボディを両立したLiDARデプスセンサー「AS-DT1」を商品化し、2026年春に発売すると発表。東京ビッグサイトで開催される「Japan DX Week」(会期:4月23〜25日)のソニーブースに出展する。

  • LiDARデプスセンサー「AS-DT1」

  • 外形寸法は29×31×29mm(幅×奥行き×高さ)。屋外晴天下で10m以上の測距レンジを持つ3D LiDAR(モジュールを除く)として、世界最小・最軽量を実現した

計測精度や距離分解能、測距レンジにおいて高い性能を発揮する「Direct Time of Flight」(dToF)方式のLiDAR(ライダー)デプスセンサー。

SPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサーを組み込んだ独自開発のdToF測距モジュールを採用しており、距離の計測に複数の測距点を用いることで、縦、横、奥行の3次元での距離を正確に測定できるとする。

なおSPADとは、入射した1つの光子(フォトン)から、雪崩(アバランシェ)のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用する画素構造で、弱い光でも検出できる高感度性能が特長の電子素子(ダイオード)。車載LiDAR用センサーなどで用いられている。

  • Direct Time of Flight方式の原理

商品化にあたり、小型の産業用カメラ「XCシリーズ」の開発で培った小型化技術や、レンズの光学技術といった、ソニーの持つさまざまな技術や知見を活用したという。

外形寸法/重量は29×31×29mm(幅×奥行き×高さ)/50gで、屋外晴天下で10m以上の測距レンジを持つ3D LiDARとしては世界最小・最軽量を実現(モジュールを除く)。筐体にアルミニウム合金を採用して軽量化と堅牢性を両立しており、主に組み込みスペースが限られている自律移動ロボットや、重量が飛行距離に影響を与えるドローンへの搭載を想定している。

  • 筐体はアルミニウム合金製

  • 想定アプリケーション

AS-DT1は、他の測距方式では検知が難しい、低コントラストの被写体や反射率の低い被写体、宙に浮いた対象物までの距離も測定可能とする。

たとえば店舗のように、人や什器といったさまざまな対象物が想定される屋内環境でも、正確に距離を測定可能で、一例として10mの距離からの計測で、屋内外ともに±5cm(暫定値)の誤差で測距できるとのこと。多様な対象物が混在する店舗や倉庫などの環境で使用されるロボットへの組み込みにも活用できるとしている。

  • 自律移動ロボットに組み込んだ状態の活用イメージ

また、長い測距レンジも特徴で、屋内で40m、真夏の晴天の屋外(10万ルクス想定)で20m(暫定値)の遠距離からでも正確に測距。このため、橋梁や高速道路、ダムといった、人が近づきにくい対象物の測距にも活用できるという。

対象物までの距離を屋内外問わず正確に測定できることに加え、小型軽量かつ、金属製の堅牢な筐体を使っているため、ソニーではAS-DT1を飲食店の配膳ロボットや倉庫の自律走行搬送ロボット、点検や調査用のドローンなど、さまざまな機器に組み込んで活用できるとアピールしている。

  • ドローンに組み込んだ状態の活用イメージ