車載向けフリップチップパッケージをNXPが開発

Nexperiaは4月9日、フリップチップ・ランドグリッドアレイ(FC-LGA)に封止された高い信号品質の双方向静電放電(ESD)保護ダイオードで構成される新しいパッケージ技術「フリップチップ・ランドグリッドアレイ(FC-LGA)」を発表した。

同パッケージは、最近の自動車で普及が進んでいる高速データ通信リンクの保護とフィルタリングに最適化されており、有害なESDイベントが発生した場合であっても、車載カメラのビデオリンク、マルチギガビットの車載イーサネット・ネットワークのほか、USBx、HDMIx、PCIexなどのインフォテインメント・インタフェースなどのアプリケーションを保護することができるという。

低キャパシタンスと低挿入損失を実現

フリップチップ・パッケージは寄生成分を最小限に抑え、ボンドワイヤや銅リードフレームを使用しないことで、高性能かつ高い信号品質を実現するパッケージ技術で、今回の2ピンおよび3ピンのFC-LGAダイオードは0.25pFという低いキャパシタンスと14.6GHz時に-3dBの挿入損失を備えることで、高データレートのアプリケーションでの利用を可能としたものとなるという。

パッケージは2ピンと3ピンの2種類を用意

また、2ピンのDFN1006LD-2と3ピンのDFN1006LD-3のフリップチップ・パッケージは標準パッケージと同じフットプリントであり、ドロップイン互換性を確保しているほか、いずれも従来のDFN技術に比べ、帯域幅が最大6GHzまで向上させているという。さらに3ピンデバイスでは2つのチャンネルを保護し、キャパシタンス・マッチングが可能なため、スペースを節約しながら回路の性能と安定性をさらに向上させることができるともしている。

加えて、内蔵されているダイオード・ファミリは高い信号品質を備えているだけでなく、広範な逆動作電圧(Vrwm)に対応しており、5V、18V、24V、30Vのオプションが用意されており、柔軟な基板配置が可能で、リンク上のさまざまなポイントに接続された複数の部品を保護できるという利点もあるという。

  • NexperiaのFC-LGAパッケージの外観

    NexperiaのFC-LGAパッケージの外観 (出所:Nexperia)

5V品はすでに量産済み

同社のESD保護ダイオードである「PESD5V0H1BLG-Q」と「PESD5V0H2BFG-Q」は、すでにサイド・ウェッタブル・フランク(SWF)のフリップチップ・パッケージであるDFN1006LD-2、DFN1006LD-3で提供されており、SWFの採用により、はんだ接合部の自動光学検査(AOI)が可能になり、安全性が最優先される自動車業界の厳しい品質要件を満たすことができるという。

なお、上記2製品を含む3種類の5Vフリップチップ・ダイオード(残り1製品の型番は「PESD5V0H1BLL-Q」)がすでに量産を開始しているほか、18V、24V、30Vの6製品がサンプル供給を開始済みで、2025年第2四半期より量産を開始する予定だという。