第1四半期の売上高として過去最高を更新へ
Samsung Electronicsは4月8日、2025年第1四半期の全事業を対象とした連結売上高のが79兆ウォン、営業利益が6兆6000億ウォンとなるとの予測を発表した。
79兆ウォンという売上高は、前年同期比では9.8%増、前四半期比で4.2%増となり、第1四半期の過去最高額を更新することとなるという。
売り上げの伸びをけん引した主な要因は、AI機能を搭載したスマートフォン(スマホ)であるGalaxy S25シリーズの販売が好調であったことが挙げられる。
また、半導体事業におけるサーバ向けDRAMの出荷量が増えたことで、PCをはじめとするほかのセグメント向けメモリの価格低下を一部相殺できた模様だが、ファウンドリ事業は赤字から脱却できていない模様である。中国勢が米国のトランプ大統領の進める関税政策の発動前にSamsungからメモリを前倒して購入したことも業績の押し上げ要因となった模様で、半導体事業を担当する同社のデバイスソリューション(DS)部門の営業利益は1兆ウォン前後と予想されている。
なお、詳細な事業部門別の業績については4月末に発表される予定である。
利益確保に向けてメモリの値上げを交渉中か?
韓国の経済メディアPulse(毎日経済新聞の英語版)によると、SamsungがDRAM、NANDともに3~5%の値上げに向けて顧客と交渉を進めている模様であるという。
この値上げは、収益の押し上げと、米国の関税政策を中心とする貿易の不確実性を乗り越えるための戦略的な動きと見られている。韓国メディアによると、これまで同社は供給過剰と需要低迷を受けて保守的な価格戦略をとっていたが、米国の関税引き上げを見越した大口顧客の在庫積み増しなどによるメモリ需要の増加を受けて、方針を転換したという。
すでに同社に先行する形でSanDiskが4月1日より10%を超す値上げを発表しているほか、Micron Technologyも3月25日に、値上げを顧客に通達している。中国のNANDメーカーYMTCも4月に値上げを計画しており、上げ幅は10%を超す可能性があると言われている。ただし、SK hynixは3月27日開催の株主総会で、価格上昇に重点を置くのではなく、需要に基づいた柔軟な戦略を維持すると説明したという。
DRAMとNANDの価格は第2四半期に上昇見込み
TrendForceによると、2025年第2四半期におけるHBMを含むDRAMの平均価格は、HBM3e 12hiの出荷増加を受けて前四半期比3~8%ほど上昇すると予想されている。米国の関税引き上げにより、ほとんどの下流ブランドが出荷を2025年第1四半期に前倒しし、メモリサプライ チェーン全体で在庫削減が加速していることが背景にあるという。また、NANDについては、価格が同四半期に安定し、ウェハ価格が同10~15%の上昇、クライアントSSDの価格も同3~8%の上昇が予想されるという。