TrendForceによると、NANDフラッシュメモリの価格は2025年第2四半期に安定した状況となり、ウェハならびにクライアントSSDの価格が上昇し始めると予測されるという。

背景には2024年第4四半期にNANDサプライヤ各社が行った減産による影響と、米国の関税引き上げ懸念に対する家電メーカーの生産前倒し、PC、スマートフォン(スマホ)、データセンター分野の在庫拡充などが進んでいることが挙げられるという。

  • NANDのカテゴリ別価格増減率予測

    2025年第1四半期および第2四半期のNAND製品のカテゴリ別価格増減率予測 (出所:TrendForce、2025年3月)

NAND製品の価格は全体的に上昇傾向に

3四半期連続の在庫削減が進んだ後、OEM各社が早期に生産を再開したことで、クライアントSSDの需要が回復傾向となっている。特に、Windows 10のサポート終了と次世代CPUの発売を踏まえてPCの買い替え需要が増加すると予想されているほか、DeepSeek効果によりエッジAIの採用加速に伴うクライアントSSDの需要の増加もあり、2025年第2四半期のクライアントSSD契約価格は前四半期比3~8%の上昇と予測されるという。

また、エンタープライズSSDもDeepSeekの登場による中国での高性能ストレージソリューションニーズの増加と、北米のクラウドサービスプロバイダ(CSP)のNVIDIA Blackwellプラットフォームの出荷に伴う調達量の増加から、第2四半期の注文数が前四半期比で若干の増加と予想されるという。

一方、供給面では、一部のNANDベンダーが第1四半期に在庫削減を目的にPCIe 4.0 SSDの価格を20%以上引き下げており、一部のサーバクライアントが予定よりも早く注文を行うなどといった動きもあり、第2四半期の契約価格は前四半期比でほぼ横ばいになると予想されるという。

また、eMMCについては、スマートTV、タブレット、Chromebookの出荷増と新興市場における中低価格帯スマホの安定した需要と中国の補助金政策もあり、注文が増加傾向にある一方、これまでの供給過剰に伴う価格下落に伴う減産により、NANDサプライヤ各社はモジュールメーカー向けウェハ価格を引き上げており、これらの動きが混ざり合う結果、第2四半期の契約価格は前四半期比で横ばいになると予測されるという。

一方のUFSについても、ハイエンドスマホと車載アプリケーションからの需要増加に伴う価格競争の激化を、全体的なNANDの減産による供給不足が相殺する形で同四半期の契約価格はほぼ横ばいと予想されるという。

このほか、3D NANDウェハについては、価格が底を打ったことを踏まえた在庫拡充がモジュールメーカー、OEMともに進められていることに加え、エンタープライズSSDの需要回復に伴うハイエンドウェハ製品への関心が高まっており、これまでの減産と、そうした需要の回復に対応する高層3D NANDの新たな価格戦略により、同四半期のウェハ契約価格は同10~15%の上昇と予想されるという。