NVIDIAのテクノロジーカンファレンス「GTC 2025」が3月17日(米国時間)より米カリフォルニア州サンノゼで開催されている。

初日の基調講演に登壇した同社Jensen Huang(ジェンスン・フアン)CEOは、同社の新たなGPUアーキテクチャロードマップを公開。2025年後半に性能を現状の1.5倍に向上させた次世代AI半導体「Blackwell Ultra」を市場投入するほか、2026年後半には「Rubin」を投入。その後、2027年に「Rubin Ultra」、そしてその先に「Feynman」を予定していることを明らかにした。

  • GTC2025で基調講演するJensen Huang氏

    GTC2025で基調講演するJensen Huang氏 (出所:GTC 2025講演動画)

同氏は、高性能なAIモデル動作時に大量のGPUが効率的に動作できるようにするソフトウェア「Dynamo」も発表した。Dynamoはオープンソースとして提供され、これを使ってDeepSeek-R1を動かすとGPU1個当たりの処理量を30倍以上高めることができるとし、DeepSeekの登場はNVIDIAの追い風となることを強調。ハードウェアであるGPUとソフト(Dynamo)をクルマの両輪のように活用することでAIモデルの性能を向上させ、AI半導体分野での成長を目指すとした。

また、同氏はディズニーがNVIDIAのロボット技術を活用する形で、キャラクターを模した歩行ロボットを開発すること、ならびにボストンに量子コンピュータの研究拠点を設け、近隣の大学や企業との共同研究を推進していくことも明らかにした。

GB300 NVL72は2025年第3四半期より出荷か?

TrendForceによると、NVIDIAはBlackwell Ultra(GB300)を予定よりも早い2025年第2四半期には提供を開始する模様だが、従来のBlackwell(GB200)と比べて、コンピューティングパフォーマンス、メモリ容量、ネットワーク、電力管理の改善などから、ODMパートナー各社はテストと検証に時間を必要としそうだという。

また、GB300チップおよびコンピュートトレイそのものは5月までに生産に入ると予想され、ODMメーカーも初期のエンジニアサンプルの設計を進めているという。これらの動きから2025年第3四半期までにNVIDIAのラックスケールデザイン「GB300 NVL72」をベースとしたシステムの構成、電源仕様、SOCAMM(AI PC向け新メモリ規格)などの設計が確定し、量産へと移行が進み、GB300搭載のラックシステムの出荷が進むことが予想されるという。

GB300 NVL72は、ラックスケールで72基のBlackwell Ultraと、36基のArm NeoverseベースのGrace CPUを接続し、テストタイムスケーリング用に構築された単一の巨大なGPUとして機能する。このTDPについてTrendForceでは、HGX AIサーバが60~80kW、GB200 NVL72で125~130kWだが、GB300 NVL72では135~140kWに達することが予想され、各チップに専用のコールドプレートが用意されるなど、構成に変化が生じるとする。

GB300向け12Hi HBM3EはSK hynixが独占契約か?

なお、韓国メディアによると、SK hynixがGB300向け12層(12Hi)HBM3Eの独占供給契約を締結した模様だという。また、次世代のRubinにも同社の次世代HBM(HBM4)の搭載が見込まれており、競合との差を広げるのではないかとの見方がでている。