TrendForceによると、2024年の半導体ファブレス上位10社の合計売上高は前年比49%増の約2498億ドルとなったという。

AI関連が半導体全体の成長のけん引役になっており、中でもNVIDIAは同125%増という高い伸びを示し存在感を発揮している。逆に同社を除く上位9社の合計売上高の伸びは同12%弱にとどまり、同社の成長の強さが際立っている。

TrendForceでは、AI向けハイエンドチップには莫大な資本投資と先端技術への理解が必要であり、参入障壁の高さから、市場の統合が進むとみている。

また、2025年を見通すと、半導体技術の進歩によりAI能力がさらに強化される一方、DeepSeekなどの新たな技術によるAI導入コストの低減が進み、サーバから個人用デバイスへのAIの浸透を加速させる可能性があるとみられ、エッジAIデバイスが半導体の次の成長ドライバーとなることが期待されるとする。

  • 2024年の半導体ファブレス企業売上高ランキングトップ10

    2024年の半導体ファブレス企業売上高ランキングトップ10(上場企業のみを対象。Qualcommは、Qualcomm CDMA Technologies(QCT)事業部門の売り上げを対象。NVIDIAは、OEM事業とIPによる収入を除く。Broadcomは、半導体事業の売り上げを対象。Willは、半導体設計および販売による売り上げのみを対象 (出所:TrendForce, 2025年3月)

ファブレス売上高トップとなったのは、AIサーバの需要の高まりを追い風にH100/H200 GPUを中心に販売が伸びたNVIDIAで、売上高は1243億ドルを超えて、ファブレストップ10の市場シェアは50%に到達した。今後、GB200やGB300の発売が予定されており、2025年はさらにAI関連の売上高が伸びることが予想される。

2位はQualcommで、QCT部門のスマートフォン(スマホ)および車載分野の成長を背景に売上高は同13%増の348億ドルとなった。3位のBroadcomもNVIDIA同様、AI需要の恩恵を受ける形で、売上高は同8%増の306億ドルまで伸ばした。AI関連は同社の半導体売上高の30%以上を占める規模にまで成長。2025年は無線通信、ブロードバンド、サーバストレージなどでの回復が期待されている。

4位のAMDの売上高は同14%増の258億ドルで、サーバおよびクライアントCPU事業の両方で成長を達成。特にサーバ関連の売上高は同94%増と大きく伸ばした。2025年もAI PC、サーバ、HPC/AIアクセラレータへの注力により成長が持続する見込みだという。5位のMediaTekはQualcommと同様、スマホ市場の低迷からの回復と、PMICやスマートエッジソリューションの伸長から同19%増の165億ドルとしている。6位はMarvellで、売上高は同2%増の56億ドルとしている。

7位は前年8位のRealtekで2023年の在庫調整を終え、2024年はPCと車載関連の出荷が回復した結果、売上高は同16%増の35億ドルとなった。2025年はネットワークと車載事業が原動力になると予想されるという。8位は前年7位のNovatekで、売上高は上位10社中、唯一同10%減の32億ドルと減収に陥った。

9位のWill Semiconductorは、Andoroidスマホ向けハイエンドCMOSイメージセンサや中国での電気自動車向けニーズの高まりにより、売上高は同21%増の30億ドルとなった。そして10位のMPSは、PMICがAIサーバに採用されたこともあり、売上高は同1%増の22億ドルとしている。