北京大学の彭海林(Hailin Peng)教授らの研究チームがビスマスベースの2次元(2D)材料を用いたGAA FET(トランジスタ)を開発した成果が科学誌「Nature Materials」に掲載された。
それによると、研究チームはウェハサイズでのmulti-layer-stacked single-crystalline 2D GAAと呼ぶ積層型の2D GAA FETの製造に成功したという。
研究チームが発見したというシリコンよりも柔軟かつ高い強度を有するとされる2D半導体材料であるビスマスオキシセレン化物(Bi2O2Se)と、high-K材料としてBi2SeO5を活用して製造され、ゲート長30nmで0.5Vの電圧動作、オン電流は1mA/μm 超、1.9psの固有遅延、エネルギー遅延積は1.84×10−27Js/μmを示したという。
GAAプロセスはSamsung Electronicsが3nmプロセスで他社に先行して導入し、TSMCも2nmより導入を進めており、日本のRapidusが開発を進める2nmプロセスもGAAが採用されるなど、先端プロセスでは必須のトランジスタ構造だが、いずれもコストや歩留まりなどの観点からシリコンベースのものとなっている。
なお、研究チームでは、今回、ウェハ規模で高い性能と低電力性能を発揮できる2D材料ベースのGAA FETが実証できたことは、シリコンを超す性能を実現するモノリシックな3次元構造のトランジスタ回路へ展望を開くものだと説明している。