SCREENホールディングスでICTソリューション事業を推進するSCREENアドバンストシステムソリューションズ(SCREEN AS)と、京セラコミュニケーションシステムの子会社でAI技術の提供を行うRistは3月13日、多品種少量生産の現場でも最小限のチューニング作業で高い検査精度を実現する、半導体ウェハやプリント基板向けの次世代検査システムの開発において連携し、3カ年計画で「次世代型AI検査モデル」の開発を開始したことを発表した。
近年の半導体やプリント基板の回路の微細化の進展に伴い、検査の効率や精度の向上も求められるようになっている。こうしたニーズに対し、SCREEN ASはこれまで、半導体ウェハやプリント基板の検査装置向け外観検査AI開発を進めてきており、AIによる虚報フィルタリングシステムなどの検査・計測AIソリューションを展開してきたという。
従来の半導体ウェハやプリント基板向け外観検査AIでは、欠陥基準や素材、製造工程、製品種別ごとに学習データを準備し、個別のAIモデルを作成することが必要であることが多く、そのためのデータの準備やモデルの作成と維持に必要とされるチューニング作業に労力とコストがかかり、外観検査AIの普及を妨げる要因となっているという。
これらの課題解決に向けてSCREEN ASでは、従来の半分の学習データ量で高精度なAIモデルを作成するための独自技術や、大規模で高精度なAIモデルを製造現場で活用可能にする知識蒸留技術など、外観検査の現場で直面するさまざまな課題を解決するための技術開発と、その製品への適用を進めてきたとする。
また、これらの技術を検査以外の分野でも活用できるよう、ノーコードで高品質な画像処理AIを開発できるソフトウェアとして、2024年8月にはアノテーションから画像処理AIモデルの作成・評価・分析を一連で行うことができるソフトウェア「SARIA」をリリースするなど、横への展開も進めてきたとする。
一方のRistは、製造現場での外観検査の省人化・省力化の加速に向けて外観検査AIのスピーディな現場導入に向けて、最小限のチューニング作業で高い検査精度を実現する「次世代型AI検査モデル」の研究開発を独自に進めてきたという。
なお、今回の技術連携では、SCREEN ASが持つ世界最高クラスの外観検査AI開発のノウハウやデータと、Ristが持つ世界最高クラスのAIエンジニアリングスキルを組み合わせることで、次世代型AI検査モデルの確立を目指すとしており、同技術を次世代外観検査システムに搭載することで、両社共通のビジョンである「外観検査技術の高度化と社会実装の加速」の実現を目指すとしている。