田中貴金属工業は3月12日、第5世代シグナルリレー向けのテープ接点として、0.2mm幅という小型化を実現した次世代接点「極小クロスバー接点」を開発したことを発表した。

  • 第5世代シグナルリレー向け極小クロスバー接点

    田中貴金属工業が開発した第5世代シグナルリレー向け極小クロスバー接点(出所:田中貴金属工業)

近年進展している電子機器の小型化に伴い、外部から電気信号を受け取って電気回路の開閉や切り替えを行うリレーの小型化に対する要求も高まっている。通信機器や設備機器、家電製品などさまざまなデバイスに広く用いられるリレーにおいて、そこに組み込まれている接点は、確実に動作しなければデバイスの誤作動や故障を引き起こす可能性があることから、高い信頼性が求められる。しかしリレー自体の小型化が進むにつれ、接点の重みによって電気回路開閉時にバウンス(意図しない接点の開閉により誤作動につながる現象)が発生してしまうことが課題となっていた。

だが現在では、接点自体を小型・軽量化することでバウンスの抑制が期待できるとされ、より精密な電気信号の制御を実現しデバイス誤作動などの軽減に貢献できるとする。また接点の小型化は省資源(省地金化)にもつながることから、コスト削減効果も期待できるという。

1970年代からシグナルリレー向け接点の開発を行う田中貴金属工業は、1998年にテープ幅0.3mmの第4世代シグナルリレー向け接点を、2023年には第5世代となる同製品(テープ幅0.25mm)を開発した。同社の極小クロスバー接点は、多種多様な素材・工法に対応可能である点を強みとし、独自の精密接合技術を駆使して幅広い負荷に対応する異種金属の多層接点を実現するとのこと。第5世代製品については、通信機器や半導体検査装置、医療機器、そして自動車など、高い信頼性が求められるさまざまな分野で活用されているとする。

  • シグナルリレー向け接点の小型化の推移

    シグナルリレー向け接点の小型化の推移(出所:田中貴金属工業)

そして今般、社内で長年培った貴金属素材に関する研究開発の知見、および高い貴金属加工技術を活用し、第5世代向けのテープ接点において最小サイズとなる0.2mm幅を達成したと発表。この極小接点を使うことにより、小型化が進むリレーにおける接点の軽量化を実現し、接点開閉時のバウンスやチャタリングを抑制することが期待されるとした。

なお田中貴金属工業によると、0.2mm幅が実現された今回の新製品について、サンプル出荷は2025年3月下旬を予定するとしている。