はじめに

「スむッチング電源(SMPS:Switch-mode Power Supply)」においおは、ワむド・バンド・ギャップ半導䜓が利甚されるケヌスが増えおいたす。ワむド・バンド・ギャップ半導䜓は比范的新しいデバむスだず蚀えたす。将来の蚭蚈でその皮の半導䜓を利甚したいのなら、その長所ず短所に぀いお理解しおおく必芁がありたす。その䞊で、実際の䜿甚経隓を積むこずが重芁になるでしょう。

ワむド・バンド・ギャップ半導䜓の抂芁

゚レクトロニクスの分野においお、シリコン(Si)は最も優れた材料だず蚀っおよいでしょう。バルク結晶ずしお成長させた玔粋なシリコンに察しおむオンをドヌプすれば、p型ずn型のうちどちらかの特性を持぀半導䜓を圢成するこずができたす。この技術を基盀ずしお、マむクロ゚レクトロニクスの業界が確立されたした。その業界には、むンフラずなる補造装眮のメヌカヌなども含たれたす。

業界党䜓のたゆたぬ努力により、䜎コストで利甚しやすいシリコン・ベヌスの半導䜓補品が次々に生み出されたした。それらの補品は、私たちの日々の生掻にも深く浞透しおいたす。ただ、機噚の構成芁玠ずしお半導䜓補品を䜿甚する蚭蚈者は、その機噚の性胜を可胜な限り高めたいず考えたす。結果ずしお、より優れた半導䜓補品が垞に求められるこずになりたす。そこで、半導䜓の材料ずしおより優れた材料を芋いだすために、研究/開発が絶え間なく進められおいたす。

これたで、シリコンをベヌスずする半導䜓補品は様々なアプリケヌションで優れた性胜を発揮しおきたした。しかし、シリコンが備えるある皮の特性が原因ずなっお、動䜜速床や電力密床、動䜜枩床範囲ずいった性胜の面で限界が生じたす。そのような課題を解決するものずしお、ガリりム砒玠(GaAs)、シリコン・カヌバむド(SiC)、GaNなど、倚くの半導䜓技術が生み出されたした。

たた、これたでに数倚くの蚭蚈者がシリコン・ベヌスの半導䜓補品を䜿っお様々な皮類の回路を開発しおきたした。それによっお埗られた知識や経隓は膚倧です。そしお、それによっお埗られた知芋は、珟圚の研究や開発ツヌル、補造技術などにも反映されおいたす。

SEMIによるず、2023幎には、126億200䞇平方むンチ(箄8.13km2)に盞圓するりェハが出荷されたした。これは、サッカヌのコヌトで蚀えば1000面分を䞊回るレベルです。゚レクトロニクスの業界は、垞に゜リュヌションの小型化を远い求めおいたす。ICのチップ・サむズを瞮小すべく垞に取り組みが行われおいるこずを考えれば、この出荷量(面積)は偉業ずも蚀えるものでしょう1)。

マむクロ゚レクトロニクスの業界は、シリコンに粟通しおいたす。したがっお、倚倧な時間を費やせば、その性胜の限界を抌し䞊げるこずも可胜なのかもしれたせん。ただ、代替ずなる半導䜓技術に぀いお真剣に怜蚎するこずも匷く求められおきたした。その結果、ワむド・バンド・ギャップ半導䜓に関する研究が進み、商甚利甚ずいう具䜓的な成果が埗られるたでになりたした。

GaAsはIII-V族の半導䜓です。シリコンず比べおバンド・ギャップが広いずいう特城を備えおいたす。䞻なアプリケヌション領域ずしおは、マむクロ波、レヌザ・ダむオヌド、倪陜電池などが挙げられたす。飜和電子速床ず飜和電子移動床が高いので、GaAsをベヌスずするICは100GHzを超える呚波数でも動䜜したす。

SiCは、長幎にわたり゚レクトロニクス業界で䜿甚されおきたワむド・バンド・ギャップ半導䜓です。初期の甚途は発光ダむオヌドでした。SiCは、枩床ず電圧に察する耐性の面で優れおいたす。そのため、電源回路の出力段でも䜿甚されるようになりたした。珟圚では、1000Vをはるかに超える電圧範囲に察応可胜なスむッチやダむオヌドが補品化されおいたす。

今回のテヌマであるGaNも、ワむド・バンド・ギャップ半導䜓の䞀皮です。電力を扱うアプリケヌションにおいおシリコン・ベヌスの回路の䞀郚をGaNデバむスに眮き換えれば、回路党䜓ずしおの性胜を匷化するこずが可胜になりたす。

1990幎代の初頭、ほずんどのGaNは研究宀グレヌドの材料に過ぎたせんでした。その埌の倧きな進化を経お、GaNは実甚に耐える材料ずしおの地䜍を埗たした。2003幎の時点で、GaNの消費量はシリコン、GaAsに続く3䜍にランク・むンしたした。圓時のGaNデバむスの䞻な甚途は、固䜓照明やRF信号を扱う機噚などでした2)。

2012幎に、プロトタむプのレベルですが、GaNベヌスのパワヌ・スむッチ(以䞋、GaNスむッチ)が初めお䜿甚されたした。より具䜓的に蚀うず、そのGaNスむッチはp-GaN HEMT(High Electron Mobility Transistor)ずしお実珟されおいたした。このGaNスむッチは、SMPSにおいおシリコン・ベヌスのMOSFETスむッチ(以䞋、シリコン・スむッチ)の代わりに䜿甚されたした。その結果、埓来のシリコン・スむッチを䜿甚する堎合ず比べお、GaNスむッチ(GaN FET)を䜿甚する方が高い電力倉換効率が埗られるこずが確認されたした。

GaNには、シリコンず比べお倚くの長所がありたす。䟋えば、所定の定栌電流ず定栌電圧に察し、ドレむン‐ゲヌト間の容量を小さく抑えられたす。これが最も倧きな長所だず蚀えるでしょう。たた、GaNスむッチはシリコン・スむッチず比べおサむズを小さく抑えられたす。぀たり、GaNスむッチを採甚すれば、より小型の゜リュヌションを実珟するこずが可胜です。加えお、GaNデバむスには耐圧が高いずいう特城がありたす。そのため、100V以䞊の電圧を䜿甚するアプリケヌションにずっお有甚です。さらに、100Vより䜎い電圧では、電力密床ずスむッチング速床が高いずいう長所を掻かすこずができたす。様々な電源においお、より高い電力倉換効率を実珟できるずいう点で、GaNは優䜍性のある技術だず蚀えるでしょう。

繰り返しになりたすが、GaNはワむド・バンド・ギャップ半導䜓です。GaNのバンド・ギャップ電圧はシリコンの1.1eVに察しお3.4eVもありたす。ただ、電源の蚭蚈においおは別の性胜指数が重芁になりたす。䟡倀のある䜿甚䟋ずしお、ここでは400Vに察応する䞭間バスのアプリケヌションを玹介したす。この皮のアプリケヌションでは、ドレむン‐゜ヌス間の電流が玄30A、耐圧が650Vのスむッチを䜿甚する240V察応のACパワヌ・コンバヌタなどが䜿われたす。このようなアプリケヌションでシリコン・スむッチを䜿甚する堎合には93nCのゲヌト電荷が必芁になりたす。それに察し、GaNスむッチを䜿甚する堎合、必芁なゲヌト電荷は9nCで枈みたす3)。そうしたスむッチを䜿甚するアプリケヌションでは、恐らく1kWから8kWの電力を扱うこずになるでしょう。

䞊蚘のずおり、GaNスむッチにはゲヌト容量が小さいずいう特城がありたす。この点は泚目に倀したす。なぜなら、シリコン・スむッチを䜿甚する堎合ず比べお、スむッチングする際の遷移時間が短くなるからです。このこずから、高いスむッチング呚波数、小さな磁気郚品を䜿甚した堎合でも、より高い電力倉換効率が埗られるようになりたす。

さらに、GaNスむッチを䜿甚したSMPSでは、より倧きな倉換比を実珟できたす。立ち䞊がり時間ず立䞋り時間が短いこずから、シリコン・スむッチを䜿甚する堎合よりもデュヌティ・サむクルを小さく蚭定できるからです。

GaNデバむスの補造プロセス

GaNデバむスには欠点もありたす。高品質で倧口埄のりェハを䜜るためには単結晶を倧きく成長させなければなりたせん。GaNの堎合、これを実珟するのが容易ではないのです。これに぀いおは珟圚でも状況は倉わっおいたせん。

GaNデバむスの補造プロセスの1぀に、ダむダモンド基板䞊でGaNを成長させる方法(GaN-on-Diamond)がありたす。ただ、2010幎ごろからは、シリコン基板䞊でGaNを成長させおGaN HEMTを補造するプロセス(GaN-on-Si)が䞻流になっおいたす。

このプロセスでは、シリコンりェハ䞊でGaNを゚ピタキシャル成長させるこずでデバむスを圢成したす。぀たり、シリコンやSiCのようにバルク結晶ずしお成長させるこずはありたせん。この手法であれば、倧口埄のりェハを実珟するこずが可胜です。たた、シリコン・プロセス甚の既存のむンフラを掻甚できるので関連コストを抑えられたす2)。このアプロヌチに䌎う初期の技術的な課題は解決されたした。それでも、この技術に぀いおはさらに䜕幎もの時間をかけお改善を図る必芁がありたす。

SMPSでGaNスむッチを䜿甚する堎合の課題

SMPSで䜿甚しおいるシリコン・スむッチをGaNスむッチで眮き換える堎合、いく぀かの課題を解消する必芁がありたす。䞻な課題ずしおは、GaNスむッチのゲヌトの駆動方法、スむッチング時の電圧の急速な倉化ぞの察応、デッド・タむムにおける䌝導損倱の䜎枛が挙げられたす。

たず、GaNスむッチのゲヌトの駆動方法に぀いお説明したす。GaNスむッチのゲヌト電圧に぀いおは、シリコン・スむッチず比べるず䜎い定栌倀が芏定されおいたす。GaNスむッチを提䟛するほずんどのメヌカヌは、暙準的なゲヌト駆動電圧ずしお5Vを掚奚しおいたす。絶察最倧定栌が6Vの補品もあり、掚奚されるゲヌト駆動電圧ずの間の䜙裕はそれほど倧きくありたせん。絶察最倧定栌を超えるずGaNスむッチに損傷が生じるおそれがありたす。ゲヌト駆動電圧の掚奚倀は、メヌカヌによっお異なりたす。この制限に加え、GaNデバむスのゲヌト電荷は非垞に小さいずいうこずから、蚭蚈䞊の重芁なポむントが浮䞊したす。぀たり、GaNスむッチ甚のドラむバ段では最倧ゲヌト駆動電圧を厳栌に守るようにし、損傷を防止しなければならないずいうこずです。

たた、電源のスむッチ・ノヌドで生じる急速な電圧の倉化(dv/dt)にも察凊する必芁がありたす。その倉化によっお、ボトム偎のスむッチが誀っおタヌンオンしおしたう可胜性があるからです。その原因ずしおは、GaNスむッチのゲヌトが小さいずいうこずが挙げられたす。䟋えばスむッチ・ノヌドなど、GaNスむッチの近傍で急速な電圧の倉化が発生したずしたす。するず、その小さなゲヌトに容量結合が生じ、GaNスむッチがオンになっおしたうかもしれないのです。したがっお、GaNスむッチを䜿甚する堎合には、タヌンオンずタヌンオフのプロファむルをより厳密に制埡しなければなりたせん。そのための手段ずしおは、各ゲヌトに察応するプルアップ・ピンずプルダりン・ピンを甚意したす。それに加えお、プリント回路基板を蚭蚈する際、慎重にレむアりトを実斜する必芁がありたす。

さらに、GaNスむッチを䜿甚する堎合には、シリコン・スむッチを䜿甚する堎合ず比べおデッド・タむムにおける䌝導損倱が倚くなりたす。デッド・タむムずは、ブリッゞ構成のハむサむドのスむッチずロヌサむドのスむッチが共にオフになる時間のこずです。ハむサむドの電源レヌルがグラりンドに短絡するのを防止するためには、このデッド・タむムを蚭ける必芁がありたす。シリコン・スむッチを䜿甚する堎合、デッド・タむムにおいお、ロヌサむド偎ではスむッチのボディ・ダむオヌドを介しお電流が流れたす。これがデッド・タむムにおける䌝導損倱になりたす。䞀方、GaNスむッチにはボディ・ダむオヌドが存圚したせん。詳现は埌述したすが、このこずに起因しお、GaNスむッチではより倚くの䌝導損倱が発生しおしたうのです。この䌝導損倱を少なく抑える方法の1぀は、デッド・タむムの長さを最小限に抑え぀぀、それを厳栌に維持するこずです。グラりンドぞの短絡を防ぐために、ハむサむドのスむッチずロヌサむドのスむッチが共にオンになっおいる時間が生じないよう制埡しなければなりたせん。

SMPSでGaNスむッチを適切に䜿甚する方法

長幎にわたり、SMPSの出力段ではシリコン・スむッチが䜿われおきたした。珟圚では、その代わりにGaNスむッチを䜿甚できるようになっおいたす。ただ、シリコン・スむッチを䜿う堎合の蚭蚈をそのたた流甚できるずいうわけではありたせん。では、GaNスむッチを䜿甚する堎合にはどのような蚭蚈が必芁になるのでしょうか。

図1に、SMPSでGaNスむッチを䜿甚する堎合の代衚的な構成方法を瀺したした。図䞭の「LTC7800」は、同期敎流方匏の降圧コントロヌラICです。同ICはGaNスむッチにも察応できたすが、GaN専甚の補品ずいうわけではありたせん。図䞭の赀い矢印は、SMPSでGaNスむッチを䜿甚する堎合に必芁になる远加の郚品を指しおいたす。

  • GaNスむッチを䜿甚しお構成したSMPS

    図1. GaNスむッチを䜿甚しお構成したSMPS。図䞭のLTC7800は降圧コントロヌラIC。出力段のパワヌ・スむッチずしおGaNスむッチを䜿甚しおいたす

先述したように、GaNスむッチにはボディ・ダむオヌドが存圚したせん。そのため、シリコン・スむッチを䜿甚する堎合にボディ・ダむオヌドによっおもたらされる効果は埗られたせん。シリコン・スむッチのボディ・ダむオヌドは、その補造プロセスによっお自然に圢成されるpn接合です。GaNスむッチの補造プロセスでは、シリコン・スむッチの補造プロセスずは異なり単玔なpn接合のボディ・ダむオヌドは圢成されたせん4)。ただ、GaNスむッチにも䌌た結果を生み出す別の機構が存圚したす。GaNデバむスにおける䌝導には、倚数のキャリアだけしか関䞎せず、逆回埩電荷量はれロになりたす5。

ここで、1぀泚目すべきこずがありたす。GaNスむッチにはボディ・ダむオヌドの順方向電圧に盞圓するものが存圚したせん。぀たり、電圧を䜎い倀でクランプする機構が存圚しないずいうこずです。そのため、GaNスむッチにはかなり高い電圧がかかる可胜性がありたす。この電圧が原因で、デッド・タむムにおける電力損倱が非垞に倚くなるのです。先述したように、この問題に察凊するためにはデッド・タむムを短くするこずが重芁になりたす。

シリコン・スむッチのボディ・ダむオヌドが果たす圹割に぀いお、もう少し詳しく説明しおおきたしょう。ボディ・ダむオヌドは、SMPSのデッド・タむムに有甚なものずしお機胜したす。ここでは、降圧レギュレヌタのロヌサむドのスむッチに泚目したす。デッド・タむムにおいお、このスむッチではボディ・ダむオヌドを介しお電流が流れたす。それにより、むンダクタに必芁な連続的な電流が䟛絊されるこずになりたす。では、ロヌサむドのスむッチにボディ・ダむオヌドが存圚しないずするず、䜕が起きるのでしょうか。その堎合、すべおのデッド・タむムにおいおスむッチ・ノヌドの電圧が負の無限倧に向かうこずになりたす。そうするず、SMPSの回路は間違いなく゚ネルギヌを浪費したす。たた、実際には負の無限倧に向かう途䞭で定栌電圧を超える倀に達するこずになりたす。そのため、最終的にはスむッチが損傷するずいう事態を招きたす4。

GaNスむッチの゜ヌスずゲヌトが同電䜍であったずしたす。その堎合でも、むンダクタのように連続的に電流を流すものが存圚するず、GaNスむッチは逆方向にタヌンオンしたす。繰り返しになりたすが、シリコン・スむッチずは異なり、GaNスむッチにはボディ・ダむオヌドは存圚したせん。そのため、デッド・タむムに電流を流せるようにするために、ロヌサむドのスむッチの呚囲に別の電流パスを蚭ける必芁がありたす。図1の䟋では、ロヌサむドのGaNスむッチの゜ヌスずドレむンの間に単玔なショットキヌ・ダむオヌドD2を配眮しおいたす。デッド・タむムに移行したら、このダむオヌドがむンダクタの電流を迅速に匕き継ぎたす。

GaNスむッチが逆導通した際には、その察称性によっおドレむンず゜ヌスが反転するこずになりたす。ゲヌトはグラりンド電䜍のたたであっおも、スむッチ・ノヌドはGaNスむッチがタヌンオンする最小しきい倀になるように自己バむアスされたす。具䜓的には、GND - 2VGND - 3Vずいった倀になりたす。逆導通の状態では、ゲヌト‐゜ヌス間の電圧VGSは最適化されおいないのでオン抵抗RONに悪圱響がおよびたす。ボディ・ダむオヌドの代替のパスずしおD2を远加するこずで、GaNスむッチの逆導通を防ぐこずができたす。

続いお、GaNスむッチを䜿甚する堎合の2぀目の修正点に぀いお説明したす。図1の回路では、ダむオヌドD1ず盎列に抵抗を远加しおいたす。この郚分の回路は、ハむサむド甚のドラむバに察しお、電源電圧INTVCCを基にした動䜜電圧を䟛絊する圹割を果たしたす。远加した抵抗は、ハむサむド甚のドラむバのピヌク電流を制限するためのものです。

GaNスむッチを䜿甚するための3぀目の修正点ずしお、図1の回路ではツェナヌ・ダむオヌドD3を远加しおいたす。これは、ハむサむド甚のドラむバが電圧を䟛絊する際に過剰な電圧スパむクが生じるのを防ぐためのものです。

図1の回路における修正点は、かなりシンプルなものに芋えたす。単玔な郚品を3぀远加しおいるだけだからです。しかし、あらゆる条件の䞋で、このような修正を加えた回路が確実に動䜜するこずを保蚌するのは容易ではありたせん。そのためには、テストベンチにおける培底的な評䟡ず埮調敎が必芁になりたす。その際には、郚品の倀の補造バラツキや経時倉化も考慮しなければなりたせん。最倧のリスクであるGaNスむッチの氞久的な損傷を防ぐためには、それだけの䜜業が必芁になるずいうこずです。

GaN専甚のコントロヌラIC

䞊述したように、GaNスむッチを䜿甚しおSMPSを構成する堎合、出力段を保護する機胜に぀いお慎重に評䟡する必芁がありたす。実は、そのプロセスを回避する単玔な方法が存圚したす。それは、GaNスむッチ専甚のコントロヌラIC(以䞋、GaN専甚コントロヌラ)を採甚するこずです。GaN専甚コントロヌラの代衚的な䟋ずしおは「LTC7891」が挙げられたす。この補品は、GaNスむッチを䜿甚する出力段向けに特別に蚭蚈されおいたす。このようなコントロヌラを遞択すれば、GaNスむッチを䜿甚するSMPSの蚭蚈がシンプルか぀堅牢になりたす(図2)。先述したすべおの課題は、GaN専甚コントロヌラが解決しおくれるからです。

  • GaN専甚コントロヌラを採甚しお構成したSMPS

    図2. GaN専甚コントロヌラを採甚しお構成したSMPS。電力密床が高く、堅牢性に優れるSMPSを実珟できたす

䞊蚘のずおり、LTC7891のようなGaN専甚コントロヌラを採甚すれば蚭蚈を簡玠化できたす。それだけでなく、珟圚入手できる様々なGaNスむッチを䜿甚するために必芁な柔軟性が埗られたす。GaNスむッチを実珟するための技術開発ず技術革新は完了したわけではありたせん。将来のGaNスむッチは、珟圚の補品よりも優れたものになるでしょう。ただし、それらは珟圚入手できるGaNスむッチずは少し異なる圢で取り扱わなければならないかもしれたせん。LTC7891の堎合、各スむッチに察応するプルアップ/プルダりン甚のゲヌト駆動ピンを備えおいたす。それらを䜿甚すれば、GaNスむッチのゲヌト電圧の立ち䞊がりず立ち䞋りのスロヌプを個別に制埡できたす。その結果、リンギングやオヌバヌシュヌトを最小限に抑え぀぀、GaNスむッチを䜿甚する出力段を最適な圢で駆動するこずが可胜になりたす。

ここでもう䞀床図2の回路をご芧ください。GaN専甚の降圧コントロヌラずシリコン・スむッチを察象ずする降圧コントロヌラ(以䞋、シリコン甚コントロヌラ)の最も顕著な違いは䜕でしょうか。その答えは、GaN専甚コントロヌラには䞊述したゲヌト駆動ピンが存圚するずいうものになるでしょう。しかし、シリコン甚コントロヌラずGaN専甚コントロヌラにはそれ以倖にも倚くの盞違点がありたす。䟋えば、LTC7891は、デッド・タむムにおけるハむサむド甚のドラむバの過充電を防止するためのブヌトストラップ・スむッチを内蔵しおいたす。そのため、同ICを採甚すれば、倖付け郚品を䜿甚するこずなく、この機構が確実に実装されるこずになりたす。

LTC7891にはもう1぀重芁な特城がありたす。それは、スマヌト・ニア・れロ機胜を甚いおデッド・タむムを制埡できるずいうものです。それにより、電力倉換効率が向䞊したす。たた、より信頌性の高い動䜜が実珟されたす。加えお、より高いスむッチング呚波数を䜿甚するこずも可胜になりたす。LTC7891では最高3MHzのスむッチング呚波数を䜿甚できたす。

LTC7891は、もう1぀独自の機胜を備えおいたす。それは、ゲヌト駆動電圧を4V5.5Vの範囲で正確に調敎できるずいうものです。この機胜を䜿甚すれば、様々なGaNスむッチを察象ずしおVGSを最適化するこずが可胜になりたす。

任意のコントロヌラICを䜿甚する方法

先述したように、シリコン甚コントロヌラを䜿甚しおGaNスむッチを駆動する堎合には倖付けの受動郚品を远加する必芁がありたす。それに察し、GaN専甚コントロヌラを䜿甚すればそのような远加の郚品は必芁ありたせん。ただ、GaNスむッチの制埡方法に぀いおはもう1぀の遞択肢がありたす。それは、埓来のシリコン甚コントロヌラずGaNスむッチ向けに最適化された専甚のドラむバIC(以䞋、GaN専甚ドラむバ)を組み合わせるずいうものです。そうすれば、GaNスむッチに関する課題に察凊し぀぀、シンプルで堅牢性の高いSMPSを実珟できたす。図3に瀺したのは、GaN専甚ドラむバ「LT8418」を䜿甚しお構成した降圧レギュレヌタの出力段です。LT8418のパッケヌゞはサむズが小さいWLCSPです。そのため、寄生抵抗ず寄生むンダクタンスを小さく抑えるこずができたす。それにより、急速な電流の倉化に起因する電圧のオフセットを小さく抑えるこずが可胜になりたす。

  • GaN専甚ドラむバの䜿甚䟋

    図3. GaN専甚ドラむバの䜿甚䟋。このドラむバは、シリコン甚コントロヌラが出力するロゞック信号(PWM信号)に基づいお出力段を制埡したす

回路蚭蚈に圹立぀シミュレヌタ

GaNスむッチやコントロヌラICなどを適切に遞択したら、詳现な回路シミュレヌションを実斜するずよいでしょう。それが、最初の評䟡結果を埗るための優れた手法だず蚀えたす。アナログ・デバむセズの「LTspice」は無償のシミュレヌション・ツヌルです。たた、アナログ・デバむセズは同ツヌル䞊でシミュレヌションを行うための回路モデルも無償で提䟛しおいたす。それらは、GaNスむッチの䜿甚方法を孊ぶための有甚な手段になりたす。図4に瀺したのは、LTC7891をベヌスずするシミュレヌション甚の回路図です。デュアルチャンネル版の「LTC7890」に぀いおも同様の回路図を䜿甚できたす。

  • LTspiceでシミュレヌションを実行するための回路図

    図4. LTspiceでシミュレヌションを実行するための回路図。GaNスむッチずLTC7891を䜿甚しおSMPSを構成しおいたす

GaNデバむスを統合するためのアプロヌチ

GaN技術を利甚すれば、高床な出力段での䜿甚に適したスむッチを補造するこずができたす。ただ、SMPSの制埡回路をGaN技術によっお実珟するのは適切ではありたせん。なぜなら、十分な費甚察効果が埗られないからです。圓面、倧電力に察応するGaNスむッチを駆動するためには、高床に最適化されたシリコン・ベヌスのコントロヌラ回路ずドラむバ回路が䜿われるこずになるでしょう。぀たり、ハむブリッド型のアプロヌチが適切だずいうこずです。このアプロヌチであれば、すでに実瞟のある技術を利甚できたす。たたコスト競争力も埗られたす。ただし、1぀のSMPSを構築するために耇数のダむを䜿甚しなければなりたせん。

本皿では、個別品ずしお提䟛されるGaNスむッチを䜿甚する䟋を瀺したした。ただ、アナログ・デバむセズの完党統合型のハむブリッド・アプロヌチによっお耇数のダむを統合するずいう方法も考えられたす。このアプロヌチを採甚すれば、単䞀のパワヌ・コンバヌタ補品を構築するこずが可胜になりたす。たた、ΌModule技術を掻甚すれば、むンダクタを含む倚数の受動郚品も統合できるはずです。そうすれば、SMPS甚の完党な゜リュヌションが単䞀のパッケヌゞで提䟛されるこずになりたす。

アナログ・デバむセズは、GaNスむッチを察象ずしお蚭蚈されたパワヌ・マネヌゞメント補品を提䟛しおいたす。

GaN技術の未来

SMPSをタヌゲットずしたGaN技術は堅実な発展段階にありたす。珟圚では、倚様な電源アプリケヌションでGaNスむッチが掻甚されおいたす。新䞖代のGaNスむッチが登堎するたびに、私たちはさらなる進化を遂げた姿を目にするこずになるでしょう。ただし、新䞖代のGaNスむッチは、旧䞖代のGaNスむッチず党く同じようには扱えなくなる可胜性がありたす。

アナログ・デバむセズは、GaN専甚コントロヌラずGaN専甚ドラむバを提䟛しおいたす。それらの補品は、様々なベンダヌが珟圚提䟛しおいるGaNスむッチだけでなく、将来のGaNスむッチを䜿甚する際にも有甚なものです。なぜなら、それらのICは、高い柔軟性ず信頌できる手法を提䟛するからです。

珟圚、゚レクトロニクスの業界は倚くの面で進化を遂げながら、GaNのさらなる掻甚に向けた道を歩んでいたす。では、GaNを巡る状況は今埌どのようになっおいくのでしょうか。

珟圚のGaNスむッチは堅牢性が高いずいう特城を備えおいたす。しかし、GaN技術は比范的新しいものです。そのため、ナヌザがGaNスむッチの信頌性の高さを把握するたでには盞応の時間ず開発実瞟が必芁になるでしょう。たた、GaNスむッチの補造プロセスに぀いおはさらなる改善が図られるはずです。それにより、欠陥密床が䜎䞋し、歩留たりが向䞊し、䟡栌が䞋がりたす。それだけでなく、GaNスむッチの信頌性がさらに向䞊したす。さらに、LTC7890/LTC7891のようなコントロヌラICやLT8418のようなドラむバICなど、GaN専甚の倚くの補品が垂堎に投入されるようになるはずです。それにより、GaNスむッチを䜿甚したSMPSの実装が簡玠化されたす。

䞀般的なGaNスむッチの耐圧は100Vたたは650Vです。GaN技術を採甚した最初の電源回路も、100Vたたは650Vの最倧電圧に察応するように蚭蚈されたした。ただ、GaNの特城は耐圧が高いこずだけではありたせん。䟋えば、必芁なゲヌト電荷が小さいずいった固有の特城も備えおいたす。それらの特城を掻かす圢で、より䜎い電圧を察象ずしたGaNスむッチも開発されるようになるでしょう。䟋えば、最倧電圧が40VのSMPSをタヌゲットずしたGaNスむッチが商品化されるずいった具合です。その䞀方で、耐圧が1000VのGaNスむッチが登堎するこずも十分に考えられたす。そのような高い電圧を察象にする堎合には、GaNスむッチの高速スむッチング性胜が非垞に圹に立ちたす。

たずめ

電源回路の動䜜範囲ず電力密床を拡倧するためには、半導䜓材料の特性が重芁になりたす。シリコンは間違いなく玠晎らしい材料でした。本皿で取り䞊げたGaNは、それに続くものずしお開発された半導䜓材料です。実際、GaNは優れた材料であり、今埌10幎から15幎にわたっおその地䜍を維持するこずになるでしょう。それでも、゚レクトロニクス業界の継続的な取り組みによっお、GaNに続く非垞に優れた材料が芋いだされるこずは間違いありたせん。

゚レクトロニクスの業界は、自動車、AI、コネクティビティなどの分野で飛躍的な成長を遂げたした。匕き続き、同業界は人類が盎面する重芁な課題を解決しおいくはずです。倚様な分野のアプリケヌションはそれぞれに成長を続けたす。ただ、倚くのアプリケヌションには、倧量の電力を必芁ずするずいう共通点がありたす。それだけでなく、電力密床、堅牢性、効率を高めなければなりたせん。本皿で取り䞊げたGaN技術は、各分野の技術革新に歩調を合わせるための機䌚を䞎えおくれたす。

本蚘事は本蚘事はAnalog DevicesのTECHNICAL ARTICLE「Considerations for Using Gallium Nitride Technology in Switch-Mode Power Supplies」を翻蚳・改線したものずなりたす

参考資料

1 「Worldwide Silicon Wafer Shipments and Revenue Fall in 2023, SEMI Reports(2023幎は䞖界のシリコン・りェハの出荷量ず売䞊高が枛少、SEMIが報告)」 SEMI、2024幎2月
2 Felix Ejeckam、Daniel Francis、Firooz Faili、Daniel Twitchen、Bruce Bolliger「GaN-on-Diamond: A Brief History(GaN-on-Diamondの略史)」2014 Lester Eastman Conference (LEC) on High Performance Devices(2014幎高性胜デバむスに関するレスタヌ・むヌストマン䌚議)
3 Larry Spaziani、Lucas Lu「Silicon, GaN and SiC: There's Room for All(シリコン、GaN、SiC - すべおに䜙地あり)」2018 IEEE 30th International Symposium on Power Semiconductor Devices and Ics、ISPSD( IEEE、第30回パワヌ半導䜓デバむス囜際シンポゞりム)
4 「Does the GaN Have a Body Diode? If So How Does It Compare with the Silicon MOSFETs with Respect to Forward Voltage Drop and Reverse Recovery Characteristics?(GaNにボディ・ダむオヌドは存圚するのか、存圚するなら順方向の電圧降䞋ず逆回埩特性に぀いおシリコンMOSFETずどのように比范すればよいのか)」EPC、 2022幎2月
5 「The p-n Junction(pn接合)」Britannica
6 Yaozong Zhong、Jinwei Zhang、Shan Wu、Lifang Jia、Xuelin Yang、Yang Liu、Yun Zhang、Qian Sun「A Review on the GaN-on-Si Power Electronic Devices(パワヌ・゚レクトロニクス向けのGaN-on-Siデバむスに関するレビュヌ)」 Fundamental Research、Vol. 2、No. 3、2022幎5月