半導体市場調査企業集団である仏Yole Groupによると、2024年の半導体市場規模は前年比26.8%増の6720億ドルとなり、2025年は同16%増の7770億ドルに成長すると予測されるという。
世界半導体市場統計(WSTS)を傘下に持つ米国半導体工業会(SIA)の発表では、2024年の半導体市場は同19.1%増の6276億ドルであり、Yoleの値はそれよりも400億ドル以上多い。調査数の違いや、ファウンドリを含むか否かなどで売上高総額は変わってくる。Yoleの売上高ランキングにはTSMCなどのファウンドリを含めている模様である。
半導体産業の今後についてYoleは、2027年~2028年にかけて下降サイクルが生じると予測されるが、2030年まで年平均成長率(CAGR)6.8%で成長し、2030年までに1兆ドル規模に達するのは確実だと見ている。今後数年間のけん引役はAI半導体とHBMとなることが見込まれるという。
デバイスタイプ別の売上高比率はロジック/プロセッサが40%~45%、メモリが20%~30%、パワー/アナログ/ディスクリートが17%~23%、そしてオプトエレクトロニクス/センサーが12%~14%となる。
2024年の最終製品市場比率は、モバイルおよびコンシューマ分野が50%となり、インフラストラクチャが34%、自動車が8%、産業/医療/防衛/航空宇宙が8%とする。また、今後の成長市場はサーバがCAGR11%で2030年までに3900億ドルに達するほか、自動車が同12.5%で1120億ドル、コンピューティングが同6%で1500億ドルとしている。
数量で見ると、2024年には全世界で1629億ユニットが生産され、オプトエレクトロニクスとディスクリートが大半を占めるほか、平均販売価格(ASP)は、変動の激しいメモリを除いて安定し、全体として前年比で12%上昇し、2025年は0.46ドルに達するとYoleは予測している。
また、ウェハ生産量は2024年は停滞したが、2030年まで着実な成長が見込まれ、月産能力は212万5000万枚へと成長すると予測されている。
2024年の売上高トップはNVIDIA
Yoleによると、2024年の半導体デバイス売上高トップ企業はNVIDIAの960億ドルと推定され、TSMCの870億ドル、Samsung Electronicsの830億ドル、Intelの520億ドルと続く。これら大手4社の合計額は、半導体業界のほぼ1/3を占める規模だという。
また、大陸別シェアでは、米国とアジアがそれぞれ約45%ほど、残りが欧州の10%といったように分けられる。Yole分析では、台湾のファウンドリに支えられたNVIDIAなどのファブレスの台頭により、米国の地位が強化される一方、中国も半導体の最大市場として成長が続く。しかし、中国勢が半導体市場に占める割合は5%ほどにとどまっており、欧州も2024年の自動車および産業分野の低迷によりシェアを落とし11%ほどとするほか、日本も11%ほどとする。
なお、台湾のサプライチェーン危機の可能性や中国勢による競争激化懸念などから各国政府は自国での半導体製造を推進していることが、今後の注目点としている。