米国半導体工業会(SIA)は、2024年の半導体市場規模が前年比19.1%増の6276億ドルとなり、過去最高を更新したと発表した。
2024年第4四半期の半導体市場については、前年同期比17.1%増、前四半期比3.0%増の1709億ドルとなったとするほか、2024年12月の単月売上高(3か月移動平均値)も前年同月比17.1%増、前月比1.2%減の570億ドルとなったとする。
2024年の年間売上高を国・地域別に見ると前年比で米州が44.8%増、中国で18.3%増、アジア太平洋地域/その他地域が12.5%増、日本が0.4%減、欧州が8.1%減となった。また、12月単月では前月比で、米州が3.2%増、アジア太平洋地域/その他地域が1.4%減、中国が3.8%減、日本が4.7%減、欧州が6.4%減となった。
製品セグメント別で年間売上高を見ると、AI向けGPUの伸びもありロジック製品が2126億ドルで最大カテゴリとなった。次いでメモリ製品で同78.9%増の1651億ドルとなった。中でもDRAMカテゴリは同82.6%増と、製品カテゴリで最大の成長率を記録した。
SIA会長兼CEOのジョン・ニューファー氏は、「半導体の成長に伴い米国は2032年までに国内の半導体製造能力を3倍にすると予測されており、サプライチェーンの強化により強力な立場に立つことになる。米国が半導体技術のトップを維持するには、ワシントンの指導者らは半導体の生産と革新を促進し、労働力を強化し、米国の貿易リーダーシップを回復する政策を推進すべき」とコメントしている。
トランプ政権と連邦議会に向けて政策提言
こうした状況を踏まえSIAは、米国の新政権誕生の歓迎のコメントとともに、トランプ政権と議会と協力して、今後何年にもわたって米国の半導体復活を維持し拡大する政策を推進する準備ができているとの声明を発表。さらに、米国半導体業界の政策優先事項を定め、トランプ政権と連邦議会に向けて以下の項目に対する政策提言を提示。SIAの立場として、米国の半導体リーダーシップの推進のために政策アジェンダの採用に向け、政策立案者と協力する用意があるとしている。
- 半導体製造のインセンティブと研究開発投資
- 半導体事業に対する税金
- 半導体研究
- 半導体業界労働力と移民
- 経済安全保障 - 貿易とサプライチェーンの回復力
- 国家安全保障 - 輸出管理と技術制限
- 中国対応
- 環境およびエネルギー規制
STAR法の提出を称賛
米国共和党と民主党の超党派議員による「Semiconductor Technology Advancement and Research Act(半導体技術進歩・研究法案:STAR法案)」が1月27日に連邦議会下院に提出された。
同法案は、先端製造投資控除(チップ製造に対する25%の税額控除、2026年末で期限切れ)の対象を半導体設計やチップの複雑な回路と機能の研究開発投資にまで拡大し、米国の設計分野における先行者利益することを目的としたもので、SIAはこの法案提出を称賛するコメントをだしている。
なお、同法案は、上下両院で審議し可決されたのち、大統領が署名することで発効するが、大統領が署名を拒否し廃案とすることができるので、トランプ大統領が最終的にどのような判断をするか注目される。