東京科学大学は2月20日、ジャパンディスプレイ(JDI)と東京工業大学(東工大、2024年10月より東京科学大学)発スタートアップのテック・エクステンション(TEX)の3者で、東工大の研究から生み出された次世代3次元集積技術「BBCube」を基にした3次元集積向け製造ラインをJDIの石川工場に構築すること、ならびにビジネスアライアンスにおける新会社設立に向けた検討を開始することで合意したと発表した。
BBCubeは、東京科学大学 総合研究院WOWアライアンス異種機能集積研究ユニット(旧 東工大 科学技術創成研究院 異種機能集積研究ユニット)の研究成果を基にした3次元積層技術。従来の平置きチップレットを3次元でコンパクトにまとめることで、バンプを利用しないでシステムの小型化を可能にするアーキテクチャで、TEXはこのBBCube技術を社会実装することを目的に2018年に東工大 科学技術創成研究院の大場隆之 特任教授が設立した大学発スタートアップという位置づけとなっている。
先行してTEXとの提携を公にしたJDIの発表にもあるように、JDIからTEXへの出資契約も行われており、この協業により、TEXはBBCube技術のプラットフォームであるWOW(Wafer on Wafer)の技術とCOW(Chip on Wafer)技術をJDI石川工場に構築が予定されている次世代3次元集積向け製造ラインに移転する。また、この技術移転では、東京科学大学総合研究院WOWアライアンス 異種機能集積研究ユニットが中心となって運営する産学研究プラットフォーム「WOWアライアンス」で得られた成果をもとに、プロセス技術・装置・材料への活用も進められる予定だとしている。
今後のスケジュールとしては、2025年第2四半期中にクリーンルームの構築ならびに設備選定が実施(フェーズ1)され、2025年第3四半期から年末にかけて順次設備の立ち上げ、および開発・製造一貫ラインの構築(フェーズ2)が進められるのと並行して、2025年後半よりウェハ投入量に合わせた量産化を進めるとしている。
なお、この次世代3次元集積製造ラインでは、WOWアライアンス、その他半導体に関連する大学、公的研究機関ならびに産業界と協調し、人材育成を含むBBCube技術をベースとした共同研究・開発を並行して行っていくことも予定しているという。