富士キメラ総研が発行した「2025 先端/注目半導体関連市場の現状と将来展望 市場編」によると、先端半導体デバイス14品目の市場規模は2024年が前年比35.1%増の82兆6556億円となる見込みのほか、2030年には2023年比3.2倍の194兆4037億円まで拡大することが予測されるという。
同社が先端半導体デバイスと位置付けているのは「サーバー向けCPU」、「PC向けCPU」、「GPU」、「AIアクセラレーター」、「ネットワークスイッチチップ」、「モバイル機器向けSoC」、「SSDコントローラー」、「DDIC」、「マイコン」、「DRAM(HBMは数量のみ算出)」、「NAND」、「IGBT」、「パワーMOSFET」、「イメージセンサー」の14品目で、2024年は、市場の6割強を占めるロジックや3割弱を占めるメモリーが、AIやデータセンター需要の増加を背景に好調で、ロジックの中でもサーバー向けCPUやSSDコントローラーが伸びているほか、生成AIブームを追い風にAIアクセラレーターが伸長。加えて、スマートフォン市場の回復もありイメージセンサーも好調となったことが成長の要因としている。また、今後については、2027年ごろに学習用AIサーバーへの投資ブームが一時的に収束することが予想され、併せてロジックの伸びの鈍化が懸念されるが、規模の大きいサーバー向けCPUやAIアクセラレーターの需要は増加が続くとみられるとするほか、AI活用に伴う容量の拡大ニーズによってメモリー市場も引き続き成長が続くと予想されるため、2030年には2023年比で3.2倍まで市場が拡大すると予想されるとしている。
その2024年の半導体市場をけん引したAIアクセラレーターは主にAIサーバーで活用されることが多く、推論用AIサーバーで2基、学習用AIサーバーで8基搭載されるケースが多いという。2024年は2023年からの生成AIブームにけん引される形で市場拡大が続いた結果、市場規模は4兆8556億円へと成長が見込まれるほか、2030年には引き続き処理性能の向上に向けた搭載数の増加が続くほか、光通信やCo-Packaged Optics採用製品なども登場して、より高速な処理などの需要の高まりもあるため、2023年比12.1倍増の25兆3132億円まで成長することが予測されるとする。 。
また、そうしたAIアクセラレーターを主に搭載するサーバーに搭載されるCPU市場については、2024年は大手クラウドベンダー各社がAIサーバーに対して積極的な投資を維持したため、2023年比19.5%増の23兆895億円となることが見込まれるほか、2027年以降は学習用AIサーバーへの投資は落ち着くが、推論用AIサーバーへの投資が伸びることから、2030年には2023年比2.4倍の46兆9656億円まで成長することが予測されるという。
さらに、それらAIサーバーのほか、さまざまな電子機器に搭載されることとなるDRAMならびにNANDについては、2024年のDRAM市場は過剰在庫の解消の流れに加え、AI需要が後押し要因となった結果、前年比86.2%増の13兆6500億円となったことが見込まれるほか、2030年にはエッジAI対応ニーズに加え、高価格なHBMの需要も継続して高いことを踏まえ、2023年比6.3倍の46兆2000億円と予測されるとする。一方のNANDについても2024年はエンタープライズSSDの容量増加などがあり、前年比85.0%増の10兆2100億円と見込まれるとするほか、2030年には、エンタープライズSSDの継続した強い需要に加え、モバイル機器向け、クライアントSSDなどもAI需要に支えられ堅調な需要が続くことから2023年比6.3倍の35兆円まで成長することが予測されるとしている。
このほか、同レポートでは、半導体製造装置や材料などの調査も実施。製造装置としては市場規模の大きい「露光装置」、「ドライエッチング装置」 、「スパッタリング装置」 、「CVD装置」の4品目を対象としており、2024年の4品目合計の市場規模は、露光装置市場の停滞があったことから、前年比0.3%減の6兆6750億円に留まることが見込まれるとするが、2030年には継続する先端プロセスへの需要の高まりへの対応に向けてそれぞれ伸びることが期待されるほか、レガシープロセスならびに化合物半導体の底堅い需要に支えられる形で、2023年比71.0%増の11兆4496億円まで成長することが予測されるとしている。