Applied Materials(AMAT)は2月19日(米国時間)、微細な半導体プロセスに対応する欠陥レビュー装置「SEMVision H20」を発表した。
電子ビームイメージングは、光学的技術では識別できないきわめて微細な欠陥を検査する重要な手段として、半導体製造に活用されてきた技術で、従来は最初に光学的にウェハをスキャンして欠陥の候補個所を選別し、その後に電子ビームを活用して欠陥特性の詳細な判別を行ってきた。しかし、半導体プロセスの微細化が進み、最少フィーチャーが原子数個分となるなど、実際の欠陥とそうでない際の誤検出を判別することが難しくなってきていた。
実際に、最先端プロセスノードにおいては、光学的検査で生成される欠陥マップの高密度化が進み、電子ビームレビューにかけられる欠陥候補の数は100倍ほどに増加しているとのことで、プロセス制御エンジニアからのそうした指数関数的に増えるサンプルの分析のみならず、量産に必要な処理速度と感度を維持した先端プロセスに対応できる欠陥レビュー装置に対するニーズが高まっていたという。
同装置は、室温動作可能な独自のサブナノメートルレベルの解像度で微細な埋没欠陥を識別可能とする電子ビームイメージング技術「コールドフィールドエミッション(Cold Field Emission:CFE)」の第2世代技術を採用。これにより、スループットの高速化と高感度ならびに高解像度を実現。イメージングの高速化により各ウェハ上のカバレージが拡大し、一定量のデータ収集に必要とする時間を従来比で1/3に短縮することをできるようにしたとする。
また、ディープラーニングAI機能を活用することで真の欠陥を擬似欠陥を区別して自動抽出することも可能としたとする。この独自のディープラーニングネットワークは、半導体メーカーのファブからのデータを継続的に学習しており、欠陥を「ボイド(空隙)」、「残渣」、「スクラッチ」、「パーティクル」、「その他」などの欠陥タイプに分類するなど、従来よりも正確かつ効率的な欠陥特性評価を実現することをできるようにしたという。
なお、同社ではこの第2世代CFE技術と高度なAIモデルを組み合わせることで、高速かつ正確な欠陥分析を可能にしたことから、半導体メーカーはチップ開発を加速することができるようになると説明しているほか、電子ビーム技術がより広く量産に生かされることにつながるとコメントしている。