NTTは2月7日、2024年度第3四半期(2024年4月1日~2024年12月31日)の連結決算を発表した。

営業収益は前年比3.4%増の10兆497億円、営業利益は同5.9%減の1兆3,992億円、当期利益は同15.9%減の8507億円、EBITDAは同0.7%減の2兆5,525億円となり、前年に対し増収減益となった。

  • NTT 2024年度第3四半期実績

2025年3月期第3四半期の概況

代表取締役社長 社長執行役員の島田明氏は、「前年に対し増収・減益となったが、営業収益は過去最高を記録した。年間の利益計画の達成は厳しい」と語った。

  • 代表取締役社長 社長執行役員 島田明氏

セグメント別でみると、総合ICT事業、グローバル・ソリューション事業、その他(不動産、エネルギー等)は増加、地域通信事業のみ減少となっている。 総合ICT事業はモバイル通信の減少はあったが、金融決済などの成長で前年比に対し増収となった。営業利益に関しては、顧客基盤強化の施策などにより前年比減となった。島田氏は、「さらなるコスト削減などを講じて、最大限のリカバリーに取り組む」と語った。

前年に対し減収減益となった地域通信事業においては、事業の選択と集中を行い、抜本的なコスト構造の変革に取り組むという。

グローバル・ソリューション事業は為替の影響もあり増収となり、海外のデータセンターの増益を受けて前年比増益となった。

その他については、データセンターエンジニアリングの好調から増収となり、物件の売却などにより利益は前年並みだったという。

インドにおけるデータセンター事業の拡大

島田氏は最近のトピックの一つとして、インドにおけるデータセンター事業を紹介した。Central Mumbai、Mumbai NAV1、Mumbai NAV2の3エリアのデータセンター間をIOWN APNで接続するほか、新たにデータセンター棟を増設し、5都市30棟へ拡大する計画だ。

また、インド・シンガポール・マレーシア間海底ケーブル「MIST」との接続開始に向けて、3月にムンバイでイベント「NTT DATA Leadership Event」が開催される予定。

島田氏によると、あくまでも顧客のニーズに合わせてデータセンターを構築しており、インドではムンバイの需要が多いという。

来期の業績見通し

来期の見通しについては、「今年を底にしたい。ジャンプとまでは言えないが、来期は今年より、成長させる計画づくりをする」と島田氏は説明した。

「ドコモはしっかり成果が出ている。競争に対応するため、コストをかけて販促に向けた施策をやっている。NTT東日本と西日本は今年がボトムになるという見通しはついており、NTTデータは好調。不動産に関しては、エネルギーの問題に対処できる体制を整えている」(島田氏)

なお、NTT法を踏まえ、社名の変更を検討していることも明らかにされた。「定款の変更が必要になるので、株主総会で提案する。グローバルで認知してもらい、存在感が出せる形にもっていきたい」と、島田氏は語っていた。

株主としてのフジテレビへの対応は?

NTTはフジテレビの株主であることから、会見では、広告停止など一連の問題への対応について、質問が相次いだ。

島田氏は、「早く、通常のビジネスを提供できるようになることが望ましいが、株主として、第三者委員会の調査結果を見せてもらうことが重要と考えている。 必要な判断があれば ドコモと相談して決める」と説明した。

島田氏は「コンテンツの制作での協業もあるので、問題を解決してもらいたい」としながらも、第三者委員会の調査結果によって、対応を決めるという姿勢を強調していた。