NTTデータグループは2月6日、2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月)の連結決算を発表した。

売上高は前年同期比7.6%増の3兆4078億円、営業利益は同19.8%増の2360億円、四半期利益は同15.2%増の965億円、受注高は同2.7%増の3兆6643円となり、増収増益を達成した。

  • NTTデータグループ 2025年3月期第3四半期実績

2025年3月期第3四半期の概況

代表取締役副社長執行役員 中山和彦氏は、「前年同期比に対し増収・増益を達成し、通期業績予想に対して順調に進捗している」と語った。

  • NTTデータグループ 代表取締役副社長執行役員 中山和彦氏

受注高は前年同期比2.7%増の3兆6643円と、国内・海外のいずれも好調だった。国内の受注は、大手金融機関向けと決済・保険向け大型案件の獲得が牽引した。海外では、North Americaにおける大型案件獲得やGTSSのSAP事業の規模拡大といったプラス要素があった一方、GTSSのデータセンター事業の反動減があった。

売上高において、国内は各セグメントが好調だったのに対し、海外はGTSSのデータセンター事業やSAP事業が好調の一方、Regional Unitが減収傾向となった。なお、為替影響により、海外全体でみると増収となった。

営業利益は国内・海外のいずれも増益となった。国内の利益には不採算費用の剥落が、また、海外の利益には海外事業構造改革費用の剥落が含まれている。第4四半期には一過性要因による減益の影響もあるが、増収に伴う増益等により、通期業績予想達成を目指すという。

日本セグメントの状況

日本セグメントの需要は好調であり、直近3カ月で大きな変化はないとして、説明は割愛された。詳細は下図を参照されたい。

  • NTTデータグループ 日本セグメントの事業環境状況

中山氏は日本セグメントの最新情報として、博報堂と協業し、企業の「デマンドチェーン変革」を推進することを紹介した。博報堂の顧客接点領域における強みとNTTデータのデジタル変革推進力における強みを生かし、互いのケイパビリティを補完することで、企業の事業課題に合わせた一気通貫での変革支援を目指す。両社は合弁会社を設立し、4月以降に営業を開始する。

海外セグメントの状況

海外セグメントの事業環境についても、日本セグメントと同様、直近3カ月で大きな変化はなかったという。ただし、中山氏は「今後、米国の政権交代の影響を注視する必要がある」と述べた。

海外セグメントの状況として、North Americaにおける成長戦略の成果が紹介された。「Client growth office」による戦略を遂行した成果として、ヘルスケア分野において大型の新規案件を受注したという。「Client growth office」は今期新設した成長戦略を担う組織で、重点顧客からの案件獲得を戦略的かつプロアクティブに推進する。

North Americaの成果を受け、他の地域も含めて、重点顧客から大型受注を獲得するための戦略的取り組みを展開する構えだ。

中山氏は、EMEALについて「南米とスペインは好調だが、ドイツとUKが足を引っ張っている」と説明。海外全般に対し、2025年度の利益を確保するために管理コストを削減し、不調なエリアは人員の最適化を進めるという。

APACはオーストラリアの不調が足を引っ張っていることから、顧客提案のレベルアップを図るため、アーキテクト人材を採用して顧客に付加価値のある提案をできるチームを作っているとのことだ。

データセンター事業は大口契約の時期によって変動があり、ハイパースケーラー向けの受注が好調だった前期に対しマイナスとなった。中山氏は「受注残が着実に積み上がっているほか、第4四半期以降も契約の動きがあり、データセンターへの需要もある」との見方を示した。

2024年度通期で8棟、約380MWを提供開始予定であり、第3四半期までに、6棟、約300MWを提供開始するという。

中山氏は、IT業界のトレンドである生成AIビジネスの状況についても説明を行った。生成AI関連ビジネスは、グローバル全体で累計1,000件を突破し、好調だという。また、営業に特化したエージェントである、SmartAgentの新サービス「LITRON Sales」も提供開始以来、約100件の引き合いがあるとのこと。

中山氏は「2027年度にグローバル全体で3000億円の売上を目指す」と語っていた。