大阪大学 大学院基礎工学研究科とTISは2月4日、量子プログラムを量子チップで実行できるように変換・最適化する処理(トランスパイラ)をユーザーが選択できるソフトウェア「Tranqu」(トランク)を開発したと発表した。

同ソフトにより、ユーザーが特定の企業や研究機関に縛られずにトランスパイラを選択でき、より精度の高い実行結果を得られるようになる。

  • ベンダーに縛られずにトランスパイラを選択できる仕組み

大阪大学が中心となって開発している量子システム・ソフトウェア群「OQTOPUS」(オクトパス)の一つであり、オープンソースとして公開された。

「Tranqu」の概要

「Tranqu」は、複数の量子プログラミング環境に対応し、効率的なトランスパイル※1処理を実現する統合的なフレームワークとして機能する。入力された量子プログラムを目的の形式に変換し、適切なトランスパイラで処理する一連の流れを自動化する。

  • 「Tranqu」がトランスパイラを実行する流れ

具体的には、ユーザーは普段使い慣れた量子プログラミング環境で量子プログラムと量子チップ情報を記述すると、ユーザーが選択したトランスパイラが受け入れ可能な形式に量子プログラムと量子チップ情報の両方を自動変換する。

続いて、変換された量子プログラムと量子チップ情報をもとに、トランスパイラを実行し量子プログラムを変換・最適化する。

最終的に、トランスパイルされた量子プログラムとともに、トランスパイル前後の回路の大きさの変化といった重要な指標をユーザーに提供する。

今後の展望

「Tranqu」はフレームワークとして開発しているため、研究者が独自に開発したトランスパイラを「Tranqu」から呼び出せる。これらにより、量子コンピュータ・クラウドサービスを利用した研究の加速が期待される。

今後は、利用可能なトランスパイラ、変換可能な量子プログラムと量子チップ情報の形式のサポート対象を拡大していく予定。

加えて、大阪大学が運用している量子クラウドでも「Tranqu」を利用できるようにする予定であり、これにより、複数のベンダーからトランスパイラを選択できる量子クラウドとなるという。