第一工業製薬は、加熱プロセスを必要としない2液混合型硬化ウレタン樹脂を開発したと2月4日に発表。高温環境や負荷に強い特性を持ち、電子・情報材料や車載材料、建築材料など、さまざまな分野でカーボンニュートラルに寄与する材料として活用が期待できるとしている。

  • 着色剤を配合し自作型に流して、常温で硬化させたウレタン樹脂硬化物

ウレタン樹脂はゴム状の柔らかい硬化物が多く、エポキシ樹脂のようにガラス状の硬い硬化物は少ないのが一般的で、高いガラス転移温度(Tg:分子の動きが制限された硬質のガラス状態と、分子が運動しやすい軟質のゴム状態の境目の温度のこと)を持つものは、ほとんど見られない。

  • 温度変化と樹脂の状態の図解。一般的にはTg以下の温度ではガラス状態、Tg以上の温度ではゴム状態を示す

今回、同社が長年培ってきたウレタン設計技術を駆使して開発を進めてきた新材料は、ポリオール成分とイソシアネート成分の2種類の液体を混ぜて作製する2液混合型のウレタン樹脂。加熱プロセスをまったく必要とせず、常温で硬化するため、エポキシ樹脂に匹敵する物理特性を持ちながら、エネルギー使用量を大幅に削減可能とする。

新材料は、常温で硬化させた場合でも約150度の高いTgや、室温で約80MPaの高い曲げ強度(樹脂の試験片を曲げて折るのに必要となる力)を有するのも特長。これを生かして、強度の必要な箇所、特に熱源付近の材料への活用が期待できるとのこと。

今後は、半導体や電池などの電子・情報分野、エンジン周りなどの車載分野、構造用接着剤などの建築分野を中心に、2027年の採用、2030年度には売上高10億円をめざす。