Intelが1月30日(米国時間)に2024年4四半期の決算概要を発表した。

それによると同四半期の売上高は前年同期比7%減の142億6000万ドルとなり、同社のガイダンスや市場予想を上回ったものの、その一部はトランプ新大統領による関税賦課を懸念した海外顧客からの発注が前倒しされたものだったと同社は説明している。また、同四半期の最終損益は1億2600万ドルの損失(前年同期は26億6900万ドルの黒字)を計上し、4四半期連続の最終赤字を計上。その結果、2024年通期の売上高は前年比2%減の531億ドル、最終損失は188億ドルとなり(2023年は17億ドルの黒字)、38年ぶりの赤字転落となった。

  • Intelの2024年第4四半期の決算概要
  • Intelの2024年第4四半期の決算概要
  • Intelの2024年第4四半期と2024年通年の決算概要 (出所:Intel、以下すべて)

同社の暫定共同CEO 兼 製品事業部門CEOのミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏は同四半期について、「マクロ経済の不確実性、さらなる在庫消化、競争のダイナミクスによって増幅された季節的な弱さを反映している。Intelは、進捗を積み重ねて価値を引き出すために、引き続き実行に重点を置くことにしている」と述べ、季節的な弱さに加え、需要低迷と競争圧力により、売上高見通しを市場予測を下回る117億ドル~127億ドルほどとしている。

第4四半期は主力事業が減収

同社のビジネスユニットごとの2024年第4四半期の売上高を見ると、「Client Computing Group(CCG)」は前年同期比9%減の80億ドル、「Data Center and AI(DCAI)」は同3%減の34億ドルとなったが、「Network and Edge(NEX)」は同10%増の16億ドルとなった。また、Intel Foundryの売上高は同13%減の45億ドルとなっている。通期売上高については、CCG、DCAI、NEXいずれも前年比で成長を果たしたが、Intel Foundryは同7%減とマイナス成長を記録している。

  • Intelの各ビジネスユニットごとの2024年第4四半期および通年売上高

    Intelの各ビジネスユニットごとの2024年第4四半期および通年売上高

  • Intel Foundryの四半期ごとの売上高と営業損失

    Intel Foundryの四半期ごとの売上高と営業損失、営業利益率の推移

なお同社は同日、「Intel 18A」プロセスが2025年後半に量産を予定していることを明らかにした(当初の予定は2024年後半の量産開始としていた)。Intel 18Aには、RibbonFET(=ナノシート)GAAトランジスタと、独自の裏面電源供給実装であるPowerViaが採用されるが、これらの技術を解説する動画の公開も行った

Intel 18Aは自社製品に適用されるほか、Intel Foundryでも顧客に提供されるプロセスである。同社はこのIntel 18Aで微細化競争で先行するTSMCとの競争力を確保し、高NA EUVを採用する予定の次世代プロセスIntel 14AにてTSMCに追い付き、追い越す作戦としているが、Intel 18Aの試作における歩留まりが低いという噂が業界に広がっている。

Intelに対し、ほかの半導体企業が全体あるいは一部(製品事業別やファウンドリなど)の買収に向けた打診や交渉が進められていると米国の複数メディアが報じているが、具体的な動きは見られておらず、新CEOの選任とともに、どのような方向に向かうのかが注目される。