世界初公開を含む、最新の宇宙探査技術が一堂に集結する特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか To the Moon and Beyond」が、日本科学未来館(東京・お台場)で7月12日から9月28日まで開催される。入場料金は未定だが、決定次第公式サイトで告知する。

  • 特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」To the Moon and Beyond

「アルテミス計画」のために日本が開発している、有人月面探査車の実物大模型を世界で初公開するほか、大画面で体感する火星ツアーなど、最新宇宙探査技術とその成果が一堂に集結。国内の主要な宇宙研究開発機関に加え、宇宙開発に携わる多くの企業・団体の協力により実現するもので、子どもにもわかりやすい解説や体験コーナーも多数設置するという。

会場は日本科学未来館 1階 企画展示ゾーンで、会期と開館時間は、7月12日~9月28日の各日10時~17時(入場は閉館の30分前まで)。ただし7月15日と9月2日、9日、16日は休館日となる。

主催は日本科学未来館、NHK、NHKプロモーション、東京新聞。文部科学省と内閣府宇宙開発戦略推進事務局が後援するほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、自然科学研究機構国立天文台(NAOJ)、東京大学、理化学研究所(RIKEN)、SPACETIDE、宇宙旅客輸送推進協議会が同展に協力。宇宙開発エバンジェリストの戸梶歩氏が監修を行っている。

同展のみどころは以下の通り。

世界初公開、アルテミス計画の関連展示

宇宙飛行士が乗り込み、宇宙服を着ずに車内で約1カ月間生活しながら月面探査を行える有人月面探査車「有人与圧ローバー」の実物大模型を、世界初公開。

  • 有人与圧ローバー
    画像提供:JAXA/TOYOTA

また、月面に直接置いて使う計測器のひとつとして、「月面誘電率計測器」(LDA:Lunar Dielectric Analyzer)も展示。土砂などの物質の電気のため込みやすさ(誘電率)を直接測定することで、月の地下の状況を推定できる技術で、月の氷など月資源の探査へつながることが期待される。

  • LDA
    画像提供:東京大学

日本の宇宙探査・開発の最前線

日本の新しい大型基幹ロケットである「H3ロケット」の最先端部にある、フェアリングの実物大模型を展示。ロケットに搭載された衛星などを、飛行による風圧や摩擦熱から守るカバー(覆い)を実際に見られる。

  • H3ロケットフェアリング
    画像提供:JAXA

小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」が持ち帰った、太陽系の起源を解明する重要な粒子の実物も展示。さらに、はやぶさ2に次ぐ3番目のサンプルリターンとして、火星の衛星フォボスからサンプルを持ち帰ることをめざす、火星衛星探査計画「MMX」(Martian Moons eXploration)も紹介する。

  • 小惑星リュウグウの粒子
    画像提供:JAXA

  • MMX
    画像提供:JAXA

最新の人工衛星も複数紹介。地球の環境を守り、暮らしに役立つことが期待される先進レーダ衛星「だいち4号」や雲エアロゾル観測衛星「はくりゅう」のほか、若い世代が主要な開発を担い、プロジェクト発足からわずか3年で打ち上げた超小型X線観測衛星「NinjaSat」に関する教育・研究機関の技術力も紹介する。

  • だいち4号(左)
    画像提供:JAXA
    NinjaSat(右)
    画像提供:理化学研究所

火星を旅する大画面映像、本物のロケット部品体感展示

火星探査機が捉えた最新のデータを駆使して製作された、迫力ある大画面映像で、来場者を新たな火星の旅へといざなうコーナーも。最先端の研究データをもとに100年後の未来の火星生活を体験できるようにする。また、JAXA種子島宇宙センターに通常展示されているロケットの断熱材やフェアリングの一部などを、手に取って体験できる企画も用意する。

  • 火星
    (C)NASA/JPL/Malin Space Science Systems

  • 火星の地表
    (C)NASA/JPL

  • さわれるロケット部品(展示イメージ)

天文学の最前線

遠方銀河や星の誕生過程について多くの成果を上げてきた、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」と、国際協力で運用されているチリの「アルマ望遠鏡」、宇宙の高温ガスを観測する宇宙望遠鏡「XRISM」など、大規模な観測機器の模型を展示。宇宙の謎を解き明かすスケールの大きな科学技術の最前線を紹介する。

大画面映像で旅する深宇宙を体感するツアーも実施。第二の地球を探す旅、超新星爆発による星の死、ブラックホールに吸い込まれる星々の壮絶な最期、そして銀河と銀河が衝突する壮大な光景など、未知なる宇宙の旅を大画面で体感できるようにする。

  • すばる望遠鏡
    画像提供:国立天文台

  • アルマ望遠鏡
    画像提供:国立天文台

  • XRISM
    画像提供:JAXA

  • ブラックホール
    (C)EHT Collaboration

  • おうし座HL星周りの塵の円盤
    (C)ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

  • 第二の木星
    画像提供:国立天文台

特別展示:前澤友作氏が搭乗したソユーズ宇宙船の実機展示

日本の民間人で初めて国際宇宙ステーション滞在を果たした、前澤友作氏が搭乗したソユーズ宇宙船(帰還モジュール)の実機を特別展示。外壁には、超高温の大気圏再突入の痕跡が残り、地球帰還時の環境の過酷さを実感できるという。

  • 前澤友作氏

  • 前澤友作さんが搭乗したソユーズ宇宙船