産総研グループと日本ガイシは、パワー半導体モジュールなどに使われる窒化ケイ素製セラミック基板の熱拡散率評価手法の検証に関する共同研究を開始したと1月30日に発表。最先端製品における評価手法の高精度化を進め、基板メーカーの製造開発を後押しし、電子デバイス関連市場での競争力向上に寄与するとしている。
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左が窒化ケイ素(Si3N4)製セラミック基板。高熱伝導性に加え、高い絶縁性と靭性などを生かし、絶縁放熱回路用基板としてのニーズが高まっている。右は日本ガイシによる、窒化ケイ素製セラミック基板と2枚の銅板で構成された基板。基板と銅板間の接合層が数ミクロン以下の極薄構造で、熱抵抗の影響や内部のひずみを大きく低減させており、高い放熱特性を追求しているという
窒化ケイ素製セラミック基板は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のモーター制御用のインバーターなどに使われる、絶縁放熱回路基板の中核を担う部品。パワー半導体モジュールが駆動する際に発生する熱を逃がす役割を担っており、基板が薄く熱拡散率が高いほど、パワー半導体モジュールの動作効率を向上させられるという。
EVやHEVの普及とともに、大電力に対応するパワー半導体モジュールが多く使われるようになり、放熱性能の高い薄板基板の需要が高まっている。一方で、0.5mmより薄い基板の熱拡散率の評価手法が規定されていないことから、測定結果の同等性確保が課題となっていた。
今回の共同研究では、評価手法に関する幅広い知見を持つ産総研と、高度なセラミック基板関連技術を持つ日本ガイシが、基板の熱拡散率測定に影響を及ぼす前処理工程の定量化に向けたデータ収集を実施。現行のJIS規格(日本産業規格)では規定されていない、0.5mmよりさらに薄い高性能な薄板基板の評価手法を検証し、測定値の精度向上と評価手法の将来的な標準化に寄与するとしている。